ワイングラスのサイズ、3世紀で7倍になっていた!
Whine Glasses
かつて人々は懐具合を考えて飲む量を控える傾向があった(写真はイメージ) IgorIgorevich-iStock
<最新の研究で分かったグラスの巨大化は、ワイン消費量の増加にも貢献しているようだ>
グラス1杯のワインを飲むという経験は、300年前と今では全く違う。現在の一般的なグラスに注がれるワインの量は、1700年代のグラスの7杯分近くに相当するという。
昨年12月に医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に発表された研究によると、平均的なワイングラスの容量は1700年代の66ミリリットルから、今では449ミリリットルに増えている。
ケンブリッジ大学のテリーザ・マートウ教授(健康行動科学)の率いる研究チームは、イギリスの博物館や小売店が保有している1700年代から現代までのワイングラス411個のサイズを測定。この期間にグラスのサイズは着実に大きくなっていると結論付けた。
「食器が大きくなると1度に提供される量が増え、気付かないうちにより多くの量を食べたり飲んだりしている」と、彼女は本誌の取材に答えた。同じ量のワインでも、大きいグラスに入れると少なく見えるから、すぐに「もう1杯」と言いたくなるようだ。
【参考記事】ワインを楽しむと脳トレに? 味と香りの分析が脳を活性化
マートウによれば、現代人のワイン消費量が増えた理由は、グラスが大きくなったことだけではない。例えば18世紀の人々は、懐具合を考えて飲む量を控える傾向があったという。
研究の筆頭著者である認知心理学者のゾラナ・ズパンが書いているように、イギリスでは17世紀後半に実業家のジョージ・レーベンズクロフトが鉛クリスタルガラス製の食器の開発を進めた。この素材の登場で、より頑丈なガラス食器が製造できるようになり、ワイングラスのサイズが大きくなっていった。
だがイギリスでは1745〜1845年にガラス税が課されたせいで、大きなワイングラスはあまり作られなかった。
店の売り上げにも貢献
19世紀半ば以降は、グラスの製造コストは下がったが、ワイングラスは少しずつ大きくなっただけだった。それが1990年代になると、一気に大きくなり始めた。さまざまなワインが認知され、それぞれに合ったグラスが作られるようになったためではないかと研究チームは考えている。大きなグラスだと「香りをより楽しむことができる」と、マートウは言う。
バーやレストランのオーナーも、ワイングラスのサイズ拡大に貢献したようだ。大きなグラスを使うと、客が飲み物を多く注文しがちであることが分かったためだ。15年に行われた研究では、バーやレストランが通常より大きなサイズのグラスでワインを販売した場合、売り上げが10%近く増加した。
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