命がけの屋外排泄――トイレなしを「精神的拷問」と認定 映画のモデルになった離婚劇にピリオド
じわじわ増える「トイレ離婚」に映画化も
インドの地元紙タイムズ・オブ・インディアによると、トイレを原因に結婚で揉めたケースはこれまでにもあった。日刊紙インディアン・エクスプレスは、今年3月に南部テランガナ州で、結婚を控えた女性が、相手がトイレを建設するまで縁談を進めることを拒否した騒ぎを報じた。翌4月には北部ウッタル・プラデーシュ州のカンプールで、同じ理由から花嫁が土壇場で結婚を拒否した。
国連の統計ではインドのレイプ事件の5割が、用を足すために外に出た時に発生している。ロサンゼルス・タイムズ紙は、トイレ建設の遅れは衛生的に問題があるだけでなく、女性たちにとって脅威だと報じている。
今回判決が下されたSangeetaのケースは『Toilet - Ek Prem Katha』(2017年公開)というインド映画の題材にもなっている。映画の中で妻はトイレを作るか離婚かの選択を夫に迫る。妻の愛を取り戻したい夫が、村を巻き込んでトイレ建設に奮闘するラブストーリーだ。
主演を務めた俳優アクシェイ・クマールは「火星と月へのロケット発射はできたのに、インドの野外排泄を終わらせるためのトイレはなぜ建たないんだろう」と自国への皮肉を込めたコメントをタイムズ紙に語っている。
映画はハッピーエンドだが、モデルになったSangeetaが生きるのは現実世界。英ガーディアン紙によると、現在、未亡人の母親と暮らす彼女は野菜を売って生計を立てている。作品として形になったことには喜んでいるが、彼女はこの映画を見ない。「政府は一刻も早く動くべきよ。女たちは命がけなんだから」
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