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息子が死ぬまでいじめに気づけなかった――新学期から4日、ゲイであることを打ち明けた9歳の少年は自ら命を絶った

2018年08月28日(火)17時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

CBS47 KSEE24-YouTubeより

<米コロラド州デンバーの小学校。始業式から4日の間に教室では、一体何が起こったのか?>

8月23日(現地時間)、アメリカのコロラド州デンバーで、9歳のジャメル・マイルズが自宅で息絶えているのが見つかった。地元紙デンバー・ポストが伝えた母親のレイア・ピアースの話では、息子のジャメルは同性愛者で、今年の夏にゲイであることをカミングアウト。8月20日の新学期の登校初日にネイルを施して登校したという。地元警察はマイルズの死因を自殺とみて調査を進めている。

「息子はいじめが原因で死んだ。みんなを幸せにする子だった。あの子に帰ってきてほしい」「ポケモン、ロボット、音楽、ドレスにティアラとハイヒールを合わせて着るのが好きだった。彼は美しく、魔法のようだった。私は一番大切な物を失った」と辛い胸の内を明かした母親は、息子が死ぬまでいじめに気づけなかった。

マイルズには姉がおり、カミングアウトを受けた同級生から自殺するよう言われていたと話している。

【参考記事】いじめで「死ななかった子」と親を取材して分かったこと

同級生から「自殺しろ」、「死ね」

デンバーの公立学校を統括するデンバー・パブリック・スクールズ(DPS)の広報担当は、声明を発表しマイルズの自殺を認めている。「子供が自ら人生を終わらせるのは辛すぎる」としたうえで、同小学校に危機管理チームを派遣し、同級生らの心理的なケアに取り組んでいると報告。今後は、自殺の原因と疑われる「いじめ」について調査を進める計画で、教師たちから生徒に何が起こったかを説明した後に、4・5年生の保護者に電話で聞き込みをするという。

複数報道によると、母のピアースが、息子がゲイであることを知ったのはこの夏休みのこと。息子マイルズを車の後部座席に乗せてドライブしていると、身を縮めながら、同性愛者であることを母親に告白したという。「彼は、自分自身が男だから怖がっていたし、カミングアウトは辛かったと思う。私は微笑んで彼に、『愛してる』と言ったわ」とピアース。

マイルズは、新学期に学校で自分がゲイであることに誇りを持ってカミングアウトした。そしてわずか4日で命を絶った。

マイルズの夢は、SNSでスーパースターになることだった。思いやりのある子供で「ママ、僕は有名なユーチューバーになって新しい家を建てるよ」と言っていたそうだ。そんな優しい言葉を言った子はもういない。

日本では始業式をきっかけに自殺者が突出して多くなる。内閣府の自殺対策白書では「夏休み明けの9月1日に最も自殺者数が多くなっている」と指摘され、まさに今の時期の目配りが肝心だ。

【参考記事】絶対に手を出さないで――死に追い込むゲーム『モモ自殺チャレンジ』が無料サイトに登場し不安広まる
【参考記事】母は私が10歳の頃に大切な話をした――LGBTQの親を持つ子供たち


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