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出会い系サイトのアプローチは博打に似ている――本能的な好みの「真実」と現実世界のズレ

2018年08月22日(水)17時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

デーティングサイトのアプローチはデートしたい相手の「好みの」真実 svetikd-iStock

<調査の鍵は、ほとんどのユーザーが自分よりも「魅力的な」相手にメッセージを送っている点である。つまり......>

最近サイエンス・アドバンス誌に掲載されたオンラインデートに関する新しい研究を見て、画家パブロ・ピカソの逸話を思い出した。

研究では、女性と男性のユーザー双方の年齢と「魅力」の相関に着目。人気の無料オンラインデーティングアプリで、異性のパートナーを求める約20万ユーザーが、1カ月当たりにメッセージを送信した、もしくはしようとした回数などの調査をオンライン上で実施。CBSによると、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、シアトルからサンプリングされた。

その結果、メッセージ送信の回数から検証するに、男性の「魅力」のピークは50歳。一方、女性は18歳でクライマックスを迎えた後、段々と落ちていくことが判明した。このデータが正しいとするならば、40代の頃に妻子を持つ身でありながら10代少女と惹かれ合ったピカソの行いは自然なことかもしれない。

研究結果を受け、レポートの共著者でミシガン大学社会学部のエリザベス・ブランチ准教授は「女性の年齢別魅力レベルは、18歳から65歳にかけて着実に減少している。その変化があまりにも急激であることに、本当に驚いた」と話した。

これは何も特別なことではない。サイトを変えても同様のデータが得られたのだ。事実、デーティングSNS「OkCupid」において、22〜30歳の男性のほとんどが、自分より若い女性にアプローチする。

「OkCupid」のブログ記事では、「平均的な30代男性は、10代女性にメッセージを送るのに時間を費やしている」と過去に断言されている。また、男性たちはマッチングしたい相手の女性の年齢について、上限は自分の年齢のほんの少しだけ上に設定しているそうだ。(デーティングアプリでは、相手の年齢やエリアなど希望する条件を設定できる)

【参考記事】独身男性の「結婚相手は普通の子がいい」は大きな間違い

女性は優秀な脳を求めるが、男性は違う?

研究では、男女のスペックについても報告されている。男性の場合は受けた教育が良いほど魅力が増加一方、女性は逆だ。学士号を持つことまではメリットになるが、その先の修士、博士までいくと、「魅力」は減るという結果となった。

テクノロジーと人間関係に焦点を当てた研究をする発達心理学者のミッチェル・ドルアン博士は、この結果に驚かない。彼女は「男性は稼ぐ能力には興味がなく、身体的な魅力に興味を持つ論」の存在を提唱している。

また、女性の高学歴化に対し、「高等な教育を受けた女性は仕事へのコミットメントが高く、恋人との関係や家族への責任をあまり持たない」というステレオタイプ的な概念が関係している可能性があるとみている。

【参考記事】大西洋を乗り越えたミドル世代の「デーティングサイト恋愛」

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