デキる女性が卵子凍結に踏み切る原因は出会い不足 経験者が抱えるある思い
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<ある女性医師はこう話す。「私はパートナーと出会う確率は、0.09%しかないと思う」なぜなら、男性にとって、優秀な女性は中々恋愛の対象にならない>
「Freeze your eggs, Free your career(卵子を凍結しなさい。キャリアの足かせとしないために)」
これは2014年にブルームバーグ・ビジネスウィーク誌のカバーストーリーを飾ったフレーズだ。この年、フェイスブックとアップルが従業員の福利厚生に卵子凍結を加えた。それをきっかけに、キャリアのために「出産を延期する」ことのコストとメリットを、何百もの記事が議論した。
以来、卵子凍結をする女性が増えている。彼女たちの多くは高学歴で仕事でも成功している。しかし、この決断とキャリアにはほとんど関係がない、という研究が最近発表された。調査の対象となったのはアメリカとイスラエルに暮らす卵子凍結経験者150名だが、それがキャリアのためであったのは2人のみだった。
「キャリアのために卵子凍結」は実は少数派
イェール大学の医療人類学者で、この発表の共同研究者の1人であるマーシャ・インフォーン博士は、先日スペインで開催されたヨーロッパ生殖医学会で次のように述べた。「上昇志向の女性がキャリアのために卵子凍結しているというイメージは、その実状とかけ離れている」。
調査によると、対象となったうちの30代半ばから後半までの女性の大半は、クリニックに行く前までに着実なキャリアを築いていた。しかし、大半のケースにおける卵子凍結の動機は、家族を築くパートナーがいないこと、だった。費用を勤務先の企業が負担してくれる人の場合でも、同様である。
インホルン博士とイェール不妊センターのパスクアーレ・パトリツィオ博士、ハイファ大学のダフナ・ビレンバム・カルメリ博士の3人は、独身女性とパートナーのいる女性の両方を対象に共同研究を行った。協力したのは7カ所の不妊治療クリニックで、米国では被験者のほとんどが東海岸またはベイエリアの都市部に住んでおり、年齢は29〜42歳、4分の3は35歳〜39歳だった。
参加した女性のうち85%が独身で、その中に同性愛者はほとんどいなかった。独身女性の約半数が、この先いつパートナーに出会えるか分からない、と回答。その次に最大のグループでは、離婚や破局が原因となっていた。(卵子凍結の費用負担が離婚調停の争点の1つになっていた女性も数名いた)。
次いで多かったきっかけが、海外転勤。彼女らは渡航前に卵子凍結をしておくべきだと考えていた。ごく少数の女性が、赤ちゃんを自分1人で産み育てるための準備。キャリアプランニングのため、という女性が1番少数派だった。
パートナーがいると回答した15%の被験者の理由も、独身女性のものと大きな違いはなかった。彼女らのパートナーは、家族を築こうとする準備ができていないか、もしくは家族を作ること自体に興味がないらしい。