「改革派」ブッシュ弟は予備選を生き残れるか
16年米大統領選への出馬が有力視されるジェブ・ブッシュが直面する共和党のジレンマ
良識派 ジェブ・ブッシュはイデオロギー対立より合意形成を重視 David Gray-Reuters
数々の皮肉な名言を残したアメリカの喜劇俳優グラウチョ・マルクスは、かつてこう語った。「私のような者を入れたがるクラブには入りたくない」
一方、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の弟で、16年米大統領選挙の共和党候補指名争いへの参戦が噂されるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は、「自分が入りたくないクラブの代表になりたい」ようだ。
彼の意思は、最近ウォール・ストリート・ジャーナル主催の会合で語った言葉からも明らか。大統領選出馬の可能性について問われたブッシュは、「共和党がどうすれば勝てるのかは大体分かる」と話した。「前向きで現実的になろうとすればいい。そして、本選で勝つために予備選で負けることだ」
共和党の予備選と本選との関係について、ブッシュはこう言いたいらしい。共和党というクラブの代表を選ぶコンテストは、破綻している──。
共和党候補者は予備選を勝ち抜くために、本選では到底有権者から受け入れられないような保守的な主張を声高に叫ばざるを得ない。中道寄りのブッシュは、イデオロギーの対立は脇に置いて、合意を築くべきだとも主張した。
ブッシュが大統領選に名乗りを上げた場合、共和党のお決まりのパターンを覆す革命的人物になるか、あるいはジョン・ハンツマンの二の舞いになるかのどちらかだろう。12年の予備選に立候補した前ユタ州知事のハンツマンも、共和党の指名プロセスを批判。だが予備選で嫌われ、撤退した。予備選は「合理的な思考や現実主義が通用しない場だった」と振り返っている。
共和党の候補指名プロセスにのさばるイデオロギー主義をブッシュが批判するのは、これが初めてではない。12年に、父ジョージ・ブッシュもロナルド・レーガンも、今の共和党で立候補したら指名を得るのは難しかっただろうと発言している。