最新記事

対テロ戦争

水責めだけじゃないCIAの拷問法

2014年12月11日(木)16時49分
テイラー・ウォーフォード

 また報告書によると、アブ・ズベイダ容疑者は「棺桶サイズ」の箱に11日と2時間閉じ込められ、引き続き「幅52.5センチ、奥行きと高さ0.75メートルの窮屈な箱」に29時間閉じ込められた。

 報告書はさらに、「上級の尋問官」の証言として、「『自分たちが確認できただけでも』17日間立ったまま壁に鎖で縛り付けられていた収容者がいた」と語っている。

 顔に平手打ちをくらわせる、全裸にする、壁にぶつけるなどの手法が多くの場合、複数同時に用いられていた。数人の尋問者が容疑者を取り巻き、「母親を連れてきて、目の前で性的に虐待してやろうか」とすごむこともあったという。

 報告書は「荒っぽい連行」と呼ばれていた手法も伝えている。「5人ほどの捜査官が収容者に向かって怒鳴り散らし、独房から引きずりだして、衣服を切り裂き、絶縁テープで縛って体の自由を奪い、フードを被せ、長い廊下を延々と引き回しながら、平手打ちやパンチをくらわせる」というものだ。

 食事と水分を摂ることを拒否した容疑者には「直腸から」の水分と栄養補給が強制された。ある容疑者は「無理やり直腸からボトル2本分の栄養ドリンクを注入され、その後同じ日に『ランチ・トレー』と称して、ヒヨコマメとゴマのペースト、ソースを絡めたパスタ、ナッツ、干しぶどうを『ビューレ状』にしたものを直腸に注入された」という。

 こうした尋問に耐えかねて、自殺を図る容疑者も続出した。報告書要旨の序文で、ダイアン・ファインスタイン上院議員はCIAのテロ容疑者の扱いを「アメリカの法律にも、国際条約の遵守義務にも、アメリカ人の価値観にも反する」として、厳しく糾弾している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米下院民主議員、ケネディ厚生長官を調査 鳥インフル

ビジネス

米建設支出、2月は前月比0.7%増 予想上回る

ワールド

米民主党主導州、トランプ政権を提訴 医療補助金11

ビジネス

米ISM製造業景気指数、3月は50割り込む 支払い
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中