最新記事

犯罪

銃乱射が起きても銃規制が進まない理由

2012年12月17日(月)17時32分
アダム・ウィンクラー(カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授)

「パッチワーク」状態の銃規制法

 銃規制が進まないもう1つの理由は、乱射事件を防止する効果的な方法が見当たらないことだ。コロンバイン高校の2人は年齢制限によって自分では銃を購入できなかったが、自分たちの代わりに銃を購入してくれる年上の友人を容易に見つけた。

 ギフォーズの銃乱射事件後は、10発以上装填できる銃の販売禁止を求める声が高まった。だがそうした銃は既に大量に流通しているし、犯人が複数の銃を使っていたら、1丁に装填できる銃弾の数を制限しても意味がない。

 今のアメリカに最も必要なのは細かい規制ではなく、すべての州で拘束力を持つ連邦法によって銃の販売や購入を規制することだろう。アメリカの銃規制は、50の州と連邦政府の法律のパッチワーク状態だ。しかし州を越えて銃を輸送するのは簡単だから、法の目をかいくぐるのも簡単だ。

 アメリカは今、国として銃規制をもっと包括的かつ徹底的に考えてくれる指導者を必要としている。しかし残念ながら、そんなリーダーが現れそうな気配はまだない。

[2012年8月 1日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国最高裁、李在明氏に5月1日に判決 公選法違反の

ワールド

パキスタン、インドの水資源協定停止に法的措置を準備

ワールド

スペイン・ポルトガルの大規模停電、ほぼ全域で電力復

ビジネス

上海はAI開発の最前線に、習主席が23年以来の訪問
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中