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アメリカ大統領選ロムニー大統領はアジア市場の敵?
米株式市場ではロムニーに期待する声が高まっているが、アジアの投資家たちは危機感を募らせている
危ない兆し 量的緩和政策を批判し、FRB議長の交代も主張しているロムニー Brian Snyder-Reuters
11月6日のアメリカ大統領選で、どちらの候補が勝ったらビジネスに有益か----世界の市場では今、そんな分析や予測が飛び交っている。
アメリカの投資戦略家は、共和党のミット・ロムニー候補が勝てば株式市場にプラスだとみている。経営者出身のロムニーは、これまでビジネス界寄りの立場をとってきたからだ。
一方、ロムニーが勝利しては困るという面々もいる。アジアの投資家たちだ。
「アジアのトレーダーたちは、指導者が変わることを好まない。ロムニーが勝てば、株価は下がるだろう。ロムニーが来年1月にやってくる『財政の崖』をうまく乗り切れるか、みんな疑っているからだ」と、IGマーケッツ証券シンガポールのマーケティング戦略家、ジャスティン・ハーパーは言う。「その点、オバマのほうがまだ安心だ。さまざまな不安定要素がある中でも、少なくとも政治の継続性は保たれる」
ロムニーの中国に対する姿勢も心配でならないと、ハーパーは言う。ロムニーは、大統領になったら中国を「為替操作国」に認定すると宣言している。そうなれば米中関係が一層悪化しかねない。
アメリカが中国に人民元の価値をもっと上げるよう迫れば、アジア各国の通貨も価値が押し上げられる。そうなれば、輸出に頼るアジア各国の競争力は低下すると、クレディ・アグリコルCIB香港でグローバル外国為替戦略部門を率いるミテュル・コテチャは指摘する。アジアの通貨は米ドルよりも人民元の相関性が高いと、コテチャは言う。
長期的にみてもマイナス
長期的にみても、ロムニー政権は市場に悪影響を及ぼすとみる向きもある。ロムニーは、市場のリスク選好度を高める原動力となっている景気刺激策に積極的ではないからだ。
ロムニーの側近は、9月にFRB(米連邦準備理事会)が実施を決定した量的緩和第3弾(QE3)はまったく効果がないと発言したと、シティグループのアジア取引ストラテジー責任者、モハメド・アパブハイは指摘する。「副大統領候補のポール・ライアンもQE3は必要ないと主張している」
ロムニーは量的緩和政策(QE)を推し進めてきたベン・バーナンキFRB議長についても、14年1月に任期が切れたら再任しないと発言している。アナリストたちは、次のFRB議長はバーナンキのような穏健派ではない人物になるとみている。
とはいえ、オバマが勝ったとしても、投資家が大喜びするわけではない。「オバマが勝っても、市場が大きく反応することはないと思う。相変わらず同じような取引が行われるだけだ」と、AMPキャピタル・インベスターズの投資戦略責任者シェーン・オリバーは語る。
From GlobalPost.com特約