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米大統領選共和党と民主党、政策はどこが違うのか
アメリカの有権者は、華々しい演説より各党の政策綱領に注目している
採点はいかに 民主党全国大会で指名受諾演説を行うオバマ(ノースカロライナ州、6日) Adrees Latif-Reuters
アメリカ国民はロムニーの演説より党の政策綱領に興味をもっている──先週の共和党全国大会を受けてピューリサーチセンターが行った世論調査の結果だ。大統領選の共和党候補に指名されたミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の演説に関心を示したのは46%だったのに対し、党の政策綱領に関心を示したのは52%だった。
民主党の全国大会も今週開催され、再選を目指すバラク・オバマ大統領が指名受諾演説を行い、党の政策綱領も採択された。両党の政策を比較してみると──。
共和党の政策綱領は、これまで以上に保守的で右寄りにシフトした内容だ。特に人工妊娠中絶や同性愛といった問題について、保守路線を貫いている。レイプや近親相姦で妊娠したとしても、中絶は絶対に許されない。結婚は厳に「男性と女性が一緒になること」ととした。
一方の民主党は政策綱領に今回初めて、同性婚の支持を明記。またこれまでと同様、中絶を容認する方針を改めて示した。
経済・安全保障政策については、共和党は米連邦準備制度理事会(FRB)の透明性向上を目的とした年次監査の強化を盛り込んだ。また連邦住宅ローン会社(ファニーメイとフレディマック)の縮小や使用済み核燃料の管理などをうたった。
対する民主党は長期失業者への職業訓練、研究開発への投資、自由貿易の支持、交通インフラの強化などを盛り込んだ。
減税対象は富裕層か中間層か
共和党はジョージ・W・ブッシュ政権時代に導入された所得税減税「ブッシュ減税」の延長を主張。富裕層に対する大減税を継続する政策だ。しかし民主党は中間所得層を対象とした減税に力点を置き、富裕層や大企業に対しては、「相応の税金を払う」よう求めた。
オバマの医療保険制度改革を非難する共和党は、「オバマケア」の撤廃を主張。代わりに共和党の副大統領候補ポール・ライアン下院予算委員長が提唱するメディケア(高齢者向け公的医療保険)の一部民営化を支持した。
移民問題について共和党は、不法移民に対する規制強化をうたう一方、高学歴者への労働ビザ発給を優遇する方針を示した。
今回、民主党の政策綱領で問題になったのは、08年(前回の大統領選)の綱領では明記されていた「エルサレムはイスラエルの首都」という文言が削除されたことだ。9月4日に初めて綱領が発表されたときに、この文言がなかったためにユダヤ系団体が反発。これを受けて翌日、急きょ追加されるという波乱があった。
こうした政策綱領に法的拘束力はない。だが党のトップ、つまりオバマとロムニーそれぞれの考えを反映した内容であるのは間違いない。
From GlobalPost.com特約