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債務上限米経済デフォルトまでのカウントダウン
借金限度額の引き上げで議会と合意できなければ大惨事になる──ついにバーナンキが悪夢のシナリオを警告
缶詰折衝 ホワイトハウスで議会指導者たちを説得するオバマ(左から3人目、7月14日) Jason Reed-Reuters
「経済の大惨事だ」――こんな言葉、誰も聞きたくない。発言の主が、アメリカ経済で最も重要な地位に就くベン・バーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長となればなおさらだ。普段は直接的な物言いをわざと避けたがる彼がここまではっきり言うのだから、事態がいかに深刻か分かる。
バーナンキは7月13日、バラク・オバマ大統領と議会が政府の債務上限(借金の限度額)を8月2日までに引き上げられずデフォルト(債務不履行)状態になれば、アメリカと世界経済が大惨事に陥ると警告した。同日には、格付け会社ムーディーズが米経済の先行きについて身も凍るような発表をしたばかりだ。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、米国債の「Aaa」格付けを引き下げる方向で見直すことを決定した。債務上限引き上げが期限内に行われず、米財務省の債務支払いが履行されないデフォルト状態に陥る可能性が高まっているためだ。ムーディーズは6月2日、債務上限引き上げをめぐって大きな前進が見られない場合には7月半ばに格付け見直しを行うと発表していた。
別の格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)も厳しい目を向けている。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によれば、S&Pは米議員らに対して非公式にこう警告しているという。「たとえ米政府が国債の元利払いをすべて履行したとしても、社会保障などの支払いができない場合には格下げする可能性がある」
債務上限の引き上げはアメリカがこうしたデフォルト状態に陥るのを防ぐための策なのだが、これをめぐる政府・与党(民主党)と野党(共和党)の間の協議はまったくうまくいっていないようだ。ニューヨーク・タイムズ紙はその様子を赤裸々に報じている。
13日夜に行われた与野党間の協議は、緊迫した空気のなか幕を閉じた。共和党関係者によると、オバマ大統領は興奮した状態でぶっきらぼうに部屋を後にしたという。一方の民主党側に言わせれば、オバマは今後に向けた策について熱弁を振るってから立ち去った。
ワシントンの人間は皆、アメリカが財政破綻に突き進んでいるという危機感にさいなまれていた。この日、浮かない顔をした議員たちは解決の糸口を探しながら、いくつもの協議を掛け持ちして走り回っていた。