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テクノロジー噂のハッカー集団、アップルを試し撃ち?
ソニーやCIAを震撼させた国際的なハッカー組織が、万全のセキュリティを誇るアップルに掛けた「小規模」攻撃の真意とは
鉄壁 iCloud発表から間もない攻撃のタイミングには不安もよぎったが(6月6日) Beck Diefenbach-Reuters
7月3日、ハッカー集団が「アンタイ・セク(反セキュリティーの略語)」と称したサイバー攻撃をアップル社に仕掛け、サーバーから盗んだ個人情報をネット上に公開してみせた。世界各国で相次ぐ政府機関や企業を狙ったサイバー攻撃が、ついにIT業界の頂点に君臨するアップルにも及んだわけだ。
犯行を行ったのは、各国の政府関連サイトを狙う国際ハッカー組織「アノニマス」と、ソニーやCIA(米中央情報局)を攻撃し、先月突然に解散を発表した「ラルス・セキュリティー」という2つのハッカー集団。彼らはアップルの社内関係者のユーザー名とパスワードや、同社のサーバへのリンクを含む文書などもネット上に流出させた。
狙われたのは、アップルの顧客情報ではなく、同社がオンライン調査用に使っているサイト。攻撃を受けた翌日、このサイトにアクセスするとエラーメッセージが表示され、接続できない状態となった(アップルの広報担当者はコメントを拒否した)。
流出した情報は、アップルの音楽配信サービス「iTunes」が保有する2億人以上のクレジットカード情報につながるものではなかった。同社が推進するクラウド・コンピューティングのiCloudとも連動していない。それでも今回の攻撃は、ラルズ・セキュリティーの解散発表後も大企業を狙ったサイバー攻撃が続くことを示していると、英フィナンシャル・タイムズ紙は指摘する。
「他で忙しいから心配するな」のメッセージ
アノニマスは盗んだ情報をテキスト共有サービス「ペーストビン・ドットコム」に公開した上、そのリンクをツイッターに流し、次のようにつぶやいた。「大して本気ではなくとも、アップルも標的になり得るということだ。だが心配するな。我々はもっと他のことで忙しい」
アップルに関する噂をまとめたサイト「9to5マック」では、今回の情報漏えいは大した被害ではないという見方が一般的だ。だが、今回の攻撃は今後に向けた「警告」だという見方もできる。
ハッカー集団は「他で忙しい」ため、今のところアップルに厄介なトラブルをもたらす意図はないというが、だからといって今後もずっと安心とは限らない。ツイッターの文面には、アップルがハッカーを苛立たせる行動に出れば、より大規模な攻撃を仕掛けるというメッセージが込められていると、ニュースサイト「ZDネット」は指摘する。
アップルが何らかのきっかけを提供すれば、同社は今後ますますハッカーの標的とされるだろう。iTunesの顧客情報を持っている同社は、悪意に満ちたハッカーにとって格好の標的だ。アップルが大規模なハッカー攻撃を受ければ、ソニーやAT&T、CIAへの攻撃とは比べ物にもならない大ニュースになるだろう。
もっともフォーチュン誌は、サイバー攻撃がアップルにとって深刻な脅威となるという説を一蹴している。
スティーブ・ジョブズがiCloud計画を発表してから1カ月も経たない中でのサイバー攻撃の報道は、確かに不安を掻き立てた。(中略)だがiTunesのデータベースのセキュリティーは、アノニマスやラルズ・セキュリティーの侵入を許したソニーやCIAとは比べ物にならないほど鉄壁だ。
立ち上げから8年経った今も、iTunesやアップル・ストアがハッキング被害を受けたという確たる情報はない。先週末の騒ぎも、被害からは程遠いレベルだった。