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米外交アラブに丸投げ、オバマの中東政策
民主化革命が広がる中東・北アフリカに向けたオバマの政策演説、頻出単語に表れた真意
アラブも注目 オバマの演説を見守るパレスチナ・ガザ地区の住民 Ismail Zaydah-Reuters
バラク・オバマ米大統領は19日、中東と北アフリカに関する政策演説を行った。この地域で起きた民主化革命を支持し、中東和平については67年の中東戦争以前の境界線に基づき、パレスチナ国家を樹立すべきだとの見解を示した。
演説の中で最も多く使われた言葉は「人々(people)」で、それは適切な選択だったろう。彼が言うように結局のところ、この「地域(region)」で燃えさかる民主化運動を起こしたのはそこの住民で、それを成し遂げなければならないのも彼らだ(ちなみに「地域」は2番目に多く登場した言葉だった)。
だが「〜しなければならない(must)」を3番目に多く連発したのは、いただけない。さらにpeopleをmustの組み合わせて「人々は〜しなければならない」と言うのは、中東の人々にすれば大きなお節介もいいところだろう。
演説を聞いた中東や北アフリカ、パキスタンやアフガニスタンの人々は逆に、オバマが「人々」をもっと支援「しなければならない」と主張する。聞こえのいいオバマの主張が行動につながるか、という点についても懐疑的だ。
オバマは09年にエジプトのカイロで、アメリカとイスラム世界の「新たな始まり」をうたう演説を行った。演説は高く評価され、中東の人々も多くの変化を期待した。しかし彼らにいわせれば、それはまったく実現しなかった。
ちなみに、今回最も登場頻度の低かった単語の一つは「直面する(face)」。できれば顔をそむけたいのが本音だろう。
■チュニジアから始まりエジプトからリビアやシリアまで一気に燃え広がったアラブの民主化運動の深層に迫る本誌ウェブ特集「中東革命の軌跡」も併せてどうぞ。