公電暴露で学んだこと、失ったもの
2011年2月8日(火)14時29分
アフガニスタンにおけるアメリカの戦いの展望にも新たな疑問が生じる。パキスタンは今もイスラム原理主義勢力タリバンや反米勢力に聖域を与えており、一連の公電を見る限り、パキスタンがそれをやめるとは考えにくい。
こうした情報は有益だ。しかし払った代償も大きい。今後、外国の外交官はアメリカ側に、率直な意見を伝えにくくなる。そうなればアメリカは貴重な情報を失うことになる。アメリカの外交官も、本国へ率直な意見を送りにくくなる。死活的に重要な現地情報が、本国政府に届かなくなるのだ。
アメリカ政府の職員が、情報漏洩を恐れて他省庁との情報共有に慎重になる恐れもある。だが、それでは縦割り行政へ逆戻りだ。省庁間の情報共有不足が、9年前の9・11テロを防げなかった原因の1つであることを忘れてはならない。今回のウィキリークスによる公電暴露には、学ぶべき教訓がたくさんある。だが誤った教訓を学べば、私たちの傷口は広がるのみだろう。
[2010年12月15日号掲載]
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