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国連演説かくもがっかりなオバマの国連演説
テロとの戦いや中東和平など大した成果も挙げていないのに自画自賛に終始した退屈スピーチの内容とは
消えた輝き 今年の演説では昨年のようなカリスマ性は見えず(9月23日) Shannon Stapleton-Reuters
9月23日にバラク・オバマ米大統領が国連本部で演説を行うと聞いても、人々の期待は控えめなものだった。オバマにも国連にも、かつてのような輝きはない。わずか1年前、昨年9月の国連演説で、オバマがロックスター並みの人気で迎えられたのは、もう過去の話だ。
人々が期待を抱かなかったのは、むしろ良かったといえるだろう。世界の首脳に協調を呼び掛け問題提起を行った昨年に比べ、今年の演説は抑えた内容に終始した。彼の政権がこれまでに達成した成果を強く訴える一方、今後の展望についてはあまり触れないという後ろ向きな演説だった(めぼしい内容がなかったために、11月にインドネシアを訪問すると発表したことがトップニュースとして扱われている)。
さて、オバマが1つ1つ細かに取り上げてくれた「成果」。彼はどれほどの説得力をもって語ってくれたのだろう。
賢明なオバマは、まずまず成功したと言える2つの分野から話し始めた。金融規制改革法と、テロとの戦いだ。国内的には経済の回復の遅れや高失業率に直面しているが、金融規制改革については世界20カ国・地域(G20)と協調したことも含めて、成果として数えていいだろう。オバマは、無人機を用いたアルカイダ掃討作戦の効果や、イラクからの米軍撤退についても自賛した。
イランと中東和平は「努力中」
だがその後の演説内容は「成果」というより「努力中」と言ったほうが適当だろう。アフガニスタンについては、「アメリカとその同盟国はタリバンの勢いを断ち、来年7月にはアフガニスタンが自立できるよう、アフガニスタン政府と治安部隊の能力強化に努めている」と述べた。努力は本当だとしても、実際にうまくいくかどうかは分からない。ソマリアと南アジアでのテロとの戦いについても、現在の取り組みと希望的観測を述べたにすぎない。
イランの核開発は、経済制裁の強化など外交的な勝利もいくつかあったにせよ、国連にとってはいまだに頭が痛い問題。オバマはここでも、イランのウラン濃縮が進むそばで成果を挙げられずにいる。
オバマは温室効果ガス削減の枠組みを決めたコペンハーゲン会議の成果を称えた。「われわれは、すべての経済大国に温室効果ガスの削減を初めて義務付ける合意が結ばれるよう働きかけた」。しかし、この合意は抜け穴だらけで効果なしと酷評されている。
さらに、もっと大きな「努力中」が2つある。核不拡散と中東和平だ。「核なき世界」への取り組みは、オバマの代名詞とも言っていい。地味な道のりかもしれないが、後世にはオバマの外交的な大成果として語り継がれるかもしれない。ただ問題は、成否を見極めるにはまだまだ時間が必要だということだ。
中東和平で強気な発言も
オバマの演説は、中東和平交渉についてかなりの時間を割いた。そのわりに内容的には代わり映えせず、イスラエルとパレスチナの2国家共存の必要性を長々と訴えただけ。イスラエルという国家の正当性と安全保障の重要性、パレスチナ人の尊厳......。
一方でオバマは、大胆にもこの2国家共存という解決策はすぐに達成できるだろうと語り、中東和平に懐疑的な見方を一蹴した。「来年ここに戻ってきたとき、われわれは新たな国連加盟国を迎える話し合いをしているかもしれない。新メンバーとは、イスラエルと平和的に共存する主権国家、パレスチナだ」
最後は、昨年と同じ呼び掛けを繰り返して結んだ。アメリカの指導力は他国への強制ではなく協調体制でしか為し得ない──。とはいえ、昨年は大きなインパクトをもって響いたこの呼びかけも、今年は何やらつつましく聞こえた。問題は、オバマが世界との協調を来年も維持できるかどうか。そして、来年の国連演説でもっと多くの「成果」を挙げられるかどうかだ。