最新記事

性スキャンダル

タイガーが暴露症の女ばかり選んだ理由

同じ火遊び好きでも、ウッズのようにさらし者になってしまう人とそうでない人がいるのはなぜ?

2010年9月2日(木)17時55分
ローラ・キプニス

すきま風? セックススキャンダルが表面化する前、NBAの試合を観戦するウッズ夫妻(09年6月) Hans Deryk-Reuters

 タイガー・ウッズとの離婚の件について公の場で話をするのはこれが最初で最後――というのが先週のピープル誌に載ったウッズの元妻で「非常にプライベートを大切にしている」時の人、エリン・ノルデグレンの独占インタビューの謳い文句だった。

 ウッズが口の軽い何人もの愛人たちとあまり上品とは言えない振る舞いに及んだのは、世界中が知っての通りだ。ウッズへの怒りや思い出(そして携帯電話に送られてきたメール)とともに、元愛人だと名乗り出てきた女性の数は、今の時点で十数人に上る。

 私はエリンの苦しみなど大したことはなかったと言うつもりはない。だが「非常にプライベートを大切にする」と形容されている人が、そのプライベートな苦しみを大手雑誌で公表するというのは、今の時代らしい興味深い矛盾だと思う。

 そこで疑問が頭をもたげる。ウッズは自分との関係を世間に言いふらすような女性が好きだったのか? ブロンドや巨乳が好みのタイプだった(元愛人たちの写真を見る限りそう思える)のと同じように。

 それともこのように情報が出回ること自体、インターネットが普及し移り変わりの激しい今の時代が、次から次へと新たなスキャンダルを求めていることの象徴なのか?

ファンこそ最も危険な存在

 確かなことがひとつある。かつてなら表沙汰にはならなかった問題(性的関係をめぐる失望とか)を切り抜けるための手段として、メディアなど公の場が利用されるケースは明らかに増えている。

 かつて人々は、小説を読んでプライベートな生活とはどんなものかを理解した。だが今は本を読む必要もない。他人の感情的な問題について、余すところなく詳細なコメントが次々と公表されるのだから。

 おかげでウッズの不倫もセレブの特権的な性生活の実情も私たちの知るところとなった。もしあなたがセレブ(もしくはセレブ志望)なら気をつけたほうがいい。一夜の相手があなたとのセックスの出来や嗜好を、シーツが乾く間もなくツイッターに流すかもしれない。眠っているあなたの裸体を携帯電話のカメラで写すかもしれない。

 ウッズのスキャンダルからセレブたちが学ぶことがあるとすれば、事に及んだ後であなたを売る危険性が最も高い人種、それはファンだということだ。

 ツイッター全盛のこの時代に火遊びに手を出しつつもスキャンダルと無縁でいたいと思ったら、優れた心理学者になるしかない。(ウッズのように)さらし者になってしまう人とそうでない人がいるのは、その辺の能力の違いによるものだろう。

 心理学者になったつもりでよく考えてみよう。セレブとのセックスにはどんな魅力があるのか?

 セレブにはたいていカリスマ性があるし、オーラがある。全員ではないがルックスもいい。2人の間に強く引きつけあう何かが感じられたのかもしれない。

 だが一番の魅力は、自分が特別な存在になったような気にさせてくれることだ。「誰でもよりどりみどりだというのに、あの人は私を選んでくれた」

セレブに近づきたい女性たち

 ところが困ったことに、華やかなセレブとお近づきになりたいと思い焦がれる人に限って、平均を上回る不安感や自己不信感にさいなまれていたりすることが多い。

 ウッズの元愛人たちの写真を見て私が気になるのは、ルックスもさることながら性格にも共通点が見て取れる点だ。

 お色気を売りにして人々の注目や支持、できれば富、そしてひょっとしたら愛までも手にしたいと強く望んではいる人々。その一方でとりあえず手に入るもので満足しようともしている――。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中