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米社会憎悪犯罪にエスカレート?モスク反対運動
ニューヨークでムスリムのタクシー運転手が襲われたが、外国人嫌悪やイスラム恐怖症は全米に広がっている
「イスラム教徒か?」 容疑者のエンライトはそう確認した上で、運転手を刺した
8月24日夜、ニューヨークでタクシーの運転手が襲われた。イスラム教徒を狙った犯行と見られている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ニューヨーク州ブルースターに住むマイケル・エンライト(21)は、運転手のアーマド・シャリフ(43)にイスラム教徒かどうかを尋ねた上で、喉や顔、腕にナイフで切りつけたという。
9・11テロが起きた世界貿易センタービルの跡地「グラウンド・ゼロ」近くのモスク建設計画をめぐる対立が激しさを増すなか、外国人嫌いとイスラム恐怖症があまりに露わなぞっとする犯行だ。
先週末には、モスクの建設予定地で反対運動をしていたグループが、前を通りかかったアフリカ系アメリカ人を罵倒する騒ぎがあった。反対派グループは、この通行人はイスラム教徒でモスク推進派だと勘違いしたのだ。その様子はビデオにも残っている。
こんなことは情緒不安を抱えたごく少数の人間がやることだと思いたいのは山々だが、実際にはイスラム教徒や移民に対する敵意の高まりを示す証拠が次々と出てきている。
世論調査会社ラスムッセンが8月23日に発表した調査によると、グラウンド・ゼロ近くにモスクを建設する計画をめぐる議論に強い関心をいだいている人の割合と、モスク建設に強く反対している人の割合が、両方とも増加している。強い関心を持つ人は7月半ばの22%から58%に増加した。モスク建設に反対する人は7月半ばの54%から62%に増えた。
8月19日には調査機関のピュー・リサーチセンターが、バラク・オバマ大統領の宗教を正しく認識しているアメリカ人の比率が「急落」しているという発表をしたばかり。オバマがキリスト教徒だと正しく答えられたのは34%だけで、09年の48%から大きく減った。43%はオバマの宗教が何かわからないと言い、18%はイスラム教だと答えた(昨年の調査時には12%だった)。
これらの世論調査は、モスク建設計画がイスラム過激派とつながっているとか、モスクがテロの発信地になるといった疑わしい主張で恐怖を煽る最近の政治や社会の風潮を反映している。
移民に対する反感も、こうした風潮に輪をかけているかもしれない。アメリカで生まれた子供はたとえ親が不法移民でもアメリカの市民権を得るという憲法上の権利を廃止しようとする共和党の有力議員を勢いづかせているのも、他ならぬ人々の反移民感情だ。