米機テロ未遂犯を拷問してはいけない
乗客全員の身体検査は無意味
テロへの過剰反応はアルカイダの思う壷だ。そうした生まれた「改善策」は、大がかりでコスト高で非効率的で、逆効果になることさえある。
たとえば、乗客全員の身体検査を強化するのは意味がない。必要なのは、より大規模で精密な不審者リストを整備し、政府内のすべての関係機関がそれを瞬時に参照できる体制だ。アメリカでは毎日200万人近くが飛行機を利用する。人々に不安を与えることなく、ごく一部の不審人物を特定し、彼らに対するボディチェックを徹底する体制が必要だ。
アブドゥルムタラブをテロリストとして扱い、拷問し、キューバのグアンタナモ米軍基地に送り込むべきだという世論もある。彼がそうした罰に値するのは言うまでもない。
だが、アブドゥルムタラブに関する重要な情報を通報したのが、彼の父親だったことは覚えておくべきだ。もしこの父親が、アメリカは何の配慮もなく息子を痛めつける無法国家だと信じていたら、我が子を突き出すような真似をしただろうか。
アメリカの安全を守り続けるには、アメリカを信頼し、身近なテロリストの情報を提供してくれる多くの父親や親戚、友人や同僚の存在が不可欠だ。