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気候変動温暖化否定派のホープ、マーク・モラノの逆襲
クライメートゲートの発覚で、温暖化は「国連の捏造」という主張がにわかに勢いを増している
真実はどこに? 12月14日、コペンハーゲンでCO2削減や社会正義の実現を求めて抗議する人々 Christian Charisius-Reuters
地球温暖化に懐疑的な立場で知られるジム・インホフ米上院議員(共和党)の広報担当を長年務めていたマーク・モラノは、今年になってその職を辞し、「クライメート・デポ」というウェブサイトを立ち上げた。「地球温暖化は心配に及ばない」という持論を証明する情報を集めて紹介するサイトだ。
インホフの下で働いていた時期のモラノは、広報担当というより通信社のような存在だった。気候変動問題に関心のある記者たちに毎週、ときには毎日のように大量のメールを送信した。送り先は5000人に上った。
私のメールボックスにはほとんど常にモラノからのメールがあるが、私が特別というわけではない。ニューヨーク・タイムズ紙も、モラノが多くの記者に送っていた「嵐のメール」について記事を書いたことがある。
テレビやラジオで引っ張りだこ
そのしつこさのおかげだろうか、モラノには影響力があった。さらに先月、気候変動の研究者たちの私的なメールが大量流出し、地球温暖化説に反するデータを隠していた疑惑が浮上。この「クライメートゲート」騒動を機に、モラノには今まで以上に注目が集まっている。
私(と多くの記者たち)のもとに12月11日に届いた大量のメールの一つによれば、モラノは現在、気候変動問題の「グラウンド・ゼロ(中心地)」、つまり国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が行われているコペンハーゲンにいる(「(温暖化どころか)めちゃくちゃに寒いよ」と、モラノは書いてきた)。
流出したメールを検証した複数の記事によれば、一部の科学者が倫理に反する意見交換をしていたのは事実だが、地球温暖化が人為的なものだという科学的合意が捏造されていたわけではなさそうだ。
それでもモラノは最近、BBCやCNNなど多くのニュース番組やラジオ番組に出演しており、「活気と敵意に満ちた議論」をしているという。保守派ラジオ番組のホストを務めるラッシュ・リンボーも、モラノのファンの一人。先月は、期せずしてモラノのサイトを一時閉鎖に追い込んでしまった。「モラノは自分ひとりの力で、誰よりも見事に現状への警鐘を鳴らしている」と番組で称賛し、サイトをチェックするようリスナーに呼びかけたため、アクセスが殺到してパンクしてしまったのだ。
石油メジャーが資金提供
マザー・ジョーンズのような左派系メディアは、「最も人気の高い温暖化否定サイト」かもしれないとしてモラノの動向に目を光らせている。「クライメート・デポは150万ドルの予算をもつ非営利団体『建設的な未来のための委員会』から資金援助を受けている。そしてこの非営利団体は、石油大手のエクソン・モービルやシェブロン、保守派の富豪でビル・クリントンの宿敵だったリチャード・メロン・スケーフから資金を受けている」と、記者のジョッシュ・ハーキンソンは指摘する。
クライメート・デポの注目度は高まるいっぽうだ。リベラル派のニュースサイト「デイリー・ビースト」は、クライメート・デポのアクセス数が「保守系ブログを代表する人気サイト、レッドステート・ドットコムを上回ったことがある」という他紙の報道を引用している。
モラノはこの状況を楽しんでいる。「クライメートゲート疑惑を長い間無視してきた主要メディアに感謝したい。おかげで温暖化肯定派の干渉を受けることなく、その問題点を整理し、国民に情報を提供できた。クライメートゲート疑惑の発覚は、国連が『捏造』した科学的合意に対する反論を聞いてもらおうと長年苦心してきた多くの懐疑派にとって大きな喜びだ」
今後も現状が続くことを望むと、モラルは言う。「主要メディアには、今後もクライメートゲート疑惑を無視し続けてほしい。そうすれば、我々の手で最も正確でバランスの取れた反論を提供し続けることができる」
とはいえ、温暖化に否定的な意見は最近、大きな関心を集め始めている。そのなかで、モラノがたちまち懐疑派の中心人物に押し上げられるのは間違いない。