最新記事
考古学

中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先史時代の支配者の実像とは?

2025年3月13日(木)17時10分
ショーン・デューク(科学担当)

墓は過去にひどく荒らされた形跡があると、考古学者らは指摘する。「墓の主の遺骨は持ち去られ、多くの重要な遺物も盗まれていた」と、朱は指摘する。「木製の棺に納められていた遺骨のほとんどがなくなっており、爪先の骨がわずかに残るだけだった。小形のヒスイの装飾品が棺の中にも外にも散乱し、儀式用の石の刀剣は故意に壊されていた」

2003年以降、河南省文物考古研究院や首都師範大学などの専門家らの合同チームは、王荘遺跡の発掘作業を進めてきた。


24年は見事な陶器や石器、ヒスイ製の遺物など無数の埋葬品が出土。埋葬品の豊かさは墓の大きさと密接に結び付いており、当時既に明確な社会的階級と階層が出現していたことを示している。

王荘遺跡の出土品からは、ここが先史時代の文化のるつぼで、多様な文化が交差し、影響し合っていたことがうかがえる。李によれば「古代の住民は明らかに、長江流域の文化的要素に加え、東部・中部の影響も受けていた」。

李は王荘遺跡は中国と世界の歴史にとって重要な意味を持つと指摘する。「遺跡での発見は中国文明の多様性を実証し、初期の交流を証明するものだ。先史時代の地域間の文化的融合を研究するカギとなるだろう」

ニューズウィーク日本版 トランプショック
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月22日号(4月15日発売)は「トランプショック」特集。関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、中国企業3社を制裁リストに追加

ワールド

トランプ米大統領の優先事項「はっきりしてきた」=赤

ワールド

イスラエル、ガザで40カ所空爆 少なくとも30人死

ワールド

米がウクライナ和平仲介断念も 国務長官指摘 数日で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 5
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 6
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 7
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 8
    ノーベル賞作家のハン・ガン氏が3回読んだ美学者の…
  • 9
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 10
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中