犬種による能力の違いは幻想? 最新研究が明かす「見た目と実力の関係」
Dog Breeds Not So Different
獰猛なピットブルは?
特定の犬種への固定観念についても考えを改める必要があるかもしれない。例えばピットブルのように「身体的特徴ゆえにかむ力が強く、よって危険だ」とのレッテルを貼られがちな犬種もある。
だがこの研究では、同じくらいのサイズの犬種同士で比べた場合、危険度の高い低いにつながるような頭蓋骨の構造の違いは見つからなかった。
「人を襲って深刻な危害を加えた犬のニュースはよく聞くし、この種の報道では特定の犬種が特に多く取り上げられる」と、ウォルドロップは言う。一部の犬種はかむ力が強い、いったんかんだら離さないなどの特徴があり、危険性が特に高いといわれる。
「私たちの研究で、それは事実でないことが分かった。何かをかむようにつくり出された犬種も、体の構造的には他の作業をするようにつくり出された犬と変わりはない」
同様に、においを嗅ぐためにつくり出された犬種の頭蓋骨にも、鋭い嗅覚につながるような特徴は見つからなかった。研究チームは、犬種ごとの能力の違いには、性質の違いが大きく影響しているとみている。
一方でオオカミやキツネなど野生の近縁種の頭蓋骨は、自然の中で生きていくための機能的なニーズに特化したつくりになっていたという。
例えばオオカミの鼻は長く、狩りやにおいの検知に最適化されていた。面白いことに、キツネの頭蓋骨はテリアなど小動物を追う猟犬と非常に共通点が多かったという。
【参考文献】
Hebdon, N., Ortega, A., Orlove, A., Wheeler, N., Pham, M., Nguyen, V., Gladman, J., & Waldrop, L. D. (2025). Dog skull shape challenges assumptions of performance specialization from selective breeding. Science Advances, 11(5), eadq9590. https://doi.org/10.1126/sciadv.adq9590

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