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花粉症が引き起こす「食物アレルギー」が増加中----2人に1人が悩む時代の最新ワクチン・治療法

2025年2月13日(木)17時33分
村田 幸久(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)*東洋経済オンラインからの転載

国籍や経済状況を問わず、アナフィラキシーを避けながら栄養状態を維持し、皆さんが食べたいものを自由に食べられるよう、我々研究者はアレルギー疾患の管理や治療方法の開発を急がねばなりません。

花粉症が引き起こす食物アレルギーが増えている

最近は、食物アレルギーだけでなく、花粉症の悪化から、花粉の抗原と交差性をもつ抗原を含む果物や野菜にアレルギー反応を起こす、花粉―食物アレルギー症候群の患者さんも増えていると聞きます。

モモやキウイを食べると口がヒリヒリするとか、腫れるというようなことが起きるのです。


他にも、好酸球性胃腸炎や急性食物たんぱく誘発胃腸炎など、IgE抗体を介さないアレルギーの症例も増えてしまっているのが現状です。

ちなみに今の気候変動もアレルギーが増える理由の1つとして本書には挙げられています。植生の変化が新たな抗原を地域に持ち込み、温暖化は花粉を増やしているとのことです。嬉しいニュースではありません。

生活環境や習慣から気候の変動まで、アレルギーが減る要因が1つとして見つからず、八方ふさがりです。避けられないアレルギーという病気と我々はどうやって付き合っていけばいいのでしょうか? 

病状を把握し、改善・管理するしかないかもしれません。

花粉症や食物アレルギーの患者を対象として、抗原となる花粉や食物を毎日、症状が出ない程度の量を少しずつ摂取することで、免疫を寛容へと導く免疫療法が行われるようになってきました。

奏功する患者さんもいる傍ら、途中でアレルギー反応がでてしまったり、長期にわたる療法途中に、やめてしまう患者さんも少なくないようです。一度は治っても、再発する人もいます。

ちなみに私たちが見つけた尿中バイオマーカーですが、食物アレルギーの診断のみならず、免疫療法の治療効率の評価にも利用できることがわかっています。

免疫療法の過程のなかで、自分が治りつつあるのか、症状が出てしまうリスクがあるのかを知ることができます。

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