最新記事
地質学

イースター島で見つかった1億6500万年前の「タイムカプセル」...理科で習った「定説」が覆る可能性も

Monumental Shift

2024年12月27日(金)14時51分
イアン・ランドル(科学担当)
イースター島のモアイ像

イースター島で見つかった古い鉱物が地質学の定説を揺さぶっている HAPPYTOBEHOMELESS/ISTOCK

<「モアイの島」で発見された太古の結晶は、地殻とマントルの動きに関する定説の見直しを迫っている>

「地殻のプレートは、その下のマントルと連動して動く」と、何十年も前から理科の教科書では説明されてきた。だが、太平洋に浮かぶイースター島(チリ領)で奇妙な発見をした地質学者の国際チームは、必ずしもそうではない可能性があると結論付けた。

地殻とマントルは、後者の対流によってベルトコンベヤーのように一緒に移動しているという「マントル対流説」は、1919年にイギリスの地質学者アーサー・ホームズ(Arthur Holmes)によって初めて提唱された。


ホームズの説は、巨大な大陸が地球の表面を移動するメカニズムを初めて説明するものだった。その根拠の1つは、アフリカと南アメリカの両大陸が大西洋に隔てられているにもかかわらず、海岸線の地形を合わせるとぴたりと一致し、岩石や化石の組成も一致するように見えたことだ。

だが今回、研究者は巨大なモアイ像で有名なイースター島で約1億6250万年間もマントル内部の同じ場所にとどまっていたと思われる結晶の「タイムカプセル」を見つけた

この発見はマントル対流説とは相いれないもので、マントルの運動が従来考えられていたよりはるかに複雑である可能性を示唆している。

地質学的に言えば、チリ沖約3700キロに位置するイースター島は「ひよっ子」だ。最も古い地層は約250万年前の火山噴火で形成されたもので、その下の海洋プレートもそれよりずっと古くはない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中