ハエの成虫に卵を産み付ける...腹を破って這い出る新種寄生バチ!まるで映画エイリアン
Watch: New Parasitic Wasp Species Found in Mississippi Backyard
生きたハエの成虫に卵を産み付ける新種の寄生蜂を発見(写真はイメージです) Brad Huchteman-Unsplash
<寄生蜂がハエの幼虫に卵を産み付けるのは一般的だが、今回発見された新種は、ハエの成虫に卵を産み付けるという衝撃的な行動をとることが明らかになった>
ミシシッピ州立大学の研究チームが、それまで知られていなかったグロテスクな方法で繁殖する寄生蜂の新種を発見した。200年に及ぶ寄生蜂の研究史上、そうした行動が観察されたのは初めてだった。
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今回発見された新種は、生きたミバエの成虫に卵を産み付けるという特異な能力をもつ。寄生蜂はハエの幼虫に卵を産み付けるのが一般的で、こうした行動が記録された前例はなかった。
論文共著者のマシュー・ボーリンジャーは「未知の生物がありふれた場所に隠れているという素晴らしい実例」と位置付け、「今に至るまで、成体を攻撃する種に遭遇したことはなかった」と指摘する。
「予想外行動」を目撃するまで
予想外の始まりは、ボーリンジャーが指導する大学院生ローガン・ムーアの自宅の裏庭だった。ミシシッピ州スタークビルにあるムーアの自宅で寄生虫の線虫を探していた研究チームは、寄生されたハエを採集している最中に、偶然この寄生蜂に遭遇した。
「そのハエは腹部が少し変わっているように見えたので採集して、体内の線虫を目当てに探していたキノコを餌にするハエと一緒に解剖した」。ボーリンジャーは本誌にそう語った。
「そのハエの体内には小さな蜂の幼虫がいた。そんなはずはなかった。なぜならそのハエは成虫だったから。ハエの成虫の中で成長する寄生蜂の記録は存在しなかったので、私はたちまち興味をそそられた」
昆虫の成虫に寄生する蜂の話を聞いたことがなかったわけではないとボーリンジャーは言う。しかしハエの成虫は動きが活発で、狙おうとしても逃げられてしまいやすいことから困難を伴う。
新種の寄生蜂は体長2ミリ以下。問題を克服するために驚くような手段を確立していた。成功の鍵は、卵の産み付けに使う針のような産卵管という器官にある。
「蜂はハエに真正面から接近する。つまり卵を注入するためには体の下で腹部を折り曲げて、槍のように体の前に突き出す必要がある」とボーリンジャーは説明する。
「次にこの槍を前に押し出しながらハエの腹部に突進する。そして腹部をものすごく素早く突き刺しながら、1個または複数の卵を注入する」
まるで「映画エイリアン」のような行動...
ハエは生きたまま飛び回り、蜂の卵はハエの体内で育って孵化して幼虫になる。ハエの体内には最大で2週間とどまり、準備が整うと宿主から脱出する。
「このハエの姿は衝撃的だ。体は同じくらい小さいのに、腹部が膨れた様子は肉眼でも見える。小さな幼虫は準備が整うと内側から食い破って小さな穴をあけ、その穴から絞り出るように這い出す」