最新記事
宇宙

宇宙の彼方に立っている「創造の柱」...壮大で神秘的な姿を捉えた、リアルな「3D映像」NASAが公開

Fly Through the 'Pillars of Creation' With Stunning New NASA Video

2024年6月29日(土)13時19分
ジェス・トムソン
宇宙の神秘

Triff/Shutterstock

<ちりなどで構成される雲が、新しい星の強烈な風や紫外線に浸食されて形成された「創造の柱」のリアルな姿を描いた映像>

地球から約7000光年離れた宇宙の彼方に「創造の柱」と呼ばれる星雲がある。その独特の形状で有名なこの星雲を捉えた新たな3D映像が、NASAによって公開された。映像はハッブル宇宙望遠鏡とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がそれぞれ撮影した画像を組み合わせて作成されたもので、これまでで最も包括的かつ詳細なものとなっている。

■【動画】7000光年先にこんなものが立っている...神秘的な「創造の柱」のリアルな姿を捉えた「3D映像」

米ボルチモアにあるNASAの宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)のプログラム「Universe of Learning」の研究者らは、新旧の宇宙望遠鏡が撮影したデータを組み合わせることで、詳細な3D映像を作成した。

創造の柱は、地球から約7000光年離れた「わし星雲」内にあり、1995年にハッブル望遠鏡が撮影した画像で有名になった。柱のように見えるのは、新しい星が形成される星雲の一部で、低温の水素分子とちりから構成されている。

創造の柱は、近くにある高温の若い星が放つ激しい風と紫外線によって浸食されている。柱の頂上は、太陽系より大きな指のような形状になっており、この指の中から星が生まれている。最も高い柱は3光年あり、これは太陽と最も近くにある恒星との間の距離の4分の3にあたる。

2つの望遠鏡が映し出した宇宙を「体験」

映像では、巨大な柱が可視光と赤外線で捉えられ、さまざまな角度から見ることができる。1つ目の柱に近づいていくと、3本の柱が隣り合っているのではなく、実際には距離があることがわかる。

STScIの主席研究員のフランク・サマーズは、「柱を通り過ぎたり、柱の間を通り抜けたりすることで、見る人はその3次元構造を体験し、ハッブル望遠鏡による可視光の観測と、ウェッブ望遠鏡による赤外線の観測との見え方の違いがわかる」と説明している。

画像の作成を主導した同研究所のグレッグ・ベーコンは、「創造の柱を3Dで作成することは常に考えていた。ウェッブ望遠鏡のデータとハッブル望遠鏡のデータを組み合わせることで、柱をより詳細に観察することができた」と述べている。

ウェッブ望遠鏡は赤外線で、ハッブル望遠鏡は可視光で撮影し、両者を組み合わせることで創造の柱のより詳細な、変化に富んだ姿を見ることができる。ウェッブ望遠鏡の高感度の赤外線により、研究者は柱のちりの内部に潜む若い星を発見することができる。

今回公開された映像には、左の柱から生まれた星や、新しい星から飛び出す物資、中央の柱の中にある生まれて間もない原始星など、さまざまな形成段階にある星が捉えられている。

ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中