最新記事
テック企業

ツイッターからXへ...もはや悲しい抜け殻に...イーロン・マスクのせいで「劣化」したこれだけの機能や要素

Everything Musk Broke in Twitter

2023年11月17日(金)15時30分
アレックス・カーシュナー

■広告体験

最悪だ。直接の原因は、大口広告主である比較的高級なブランドが大量撤退したことだろう。今やXでは、外国語の広告や「どう見ても詐欺」な商品の広告が珍しくない。広告ラベルも判別しづらくなり、広告と表示されていない場合もある。

■ニュース消費

ソーシャルメディアの中でも輪をかけて悲惨な状態だ。誰でも月額8ドルで認証バッジが手に入るせいで、個人アカウントの信頼性を判断する(確度は低いが)唯一の目印が消えてしまった。ニュース記事へのリンク付き投稿から見出しを削除する仕様になったため、でっち上げも簡単にできる。

この新たなシステムの欠陥を露呈させたのが、10月に勃発したイスラム組織ハマスとイスラエルの衝突だ。数十万人がフォローする認証バッジ付きの情報収集アカウントは多々あるが、それらが真の意味でのニュース提供や報道をすることはなく、マスク流に従わない記者たちの声をかき消してしまうだけだ。

■引用ツイート

コメント付きのリツイートは問題投稿への批判を知るのに便利だったが、見つけにくくなってしまった。Xのウェブアプリでは、投稿をリツイート・引用したアカウントが表示されなくなり、投稿の背景や反応を幅広く把握するのが難しい。

引用ツイートの封じ込めは、ネット上のたたきを減らす効果があるかもしれない。だが同時に、「クソツイート」が批判されない環境づくりにも役立っている。

■レシオ

返信数が「いいね」やリツイートを上回る状態を指すレシオは、批判が多いことの証し。当然ながら、これも死滅状態だ。

■インセンティブ付与

もうめちゃくちゃだ。マスクは、基準を満たすユーザーを対象とした広告収益分配プログラムを開始。インプレッション(投稿表示回数)を増やせば儲かるため、炎上目的や偽情報の投稿をする動機になっている。

実態調査のため筆者も登録してみたところ、月末に支払われた金額は20ドル。分配金の仕組みは全く説明されていない。人気狙いで嘘をつけば、もっと稼げるのだろうか?

■マスクの世界

本人のアカウントをブロックしても、マスクを無視するのは今やほぼ無理。Xで話題になるのはマスクのことばかりだ。ツイッター買収に投じた資金を回収できる見込みはないが、「永遠の主人公」になったマスクは感情的には報われそうだ。

■ちょっと「マーク・ザッカーバーグ派」に

Xが生んだもう1つの悲しい結末だ。メタがツイッターに対抗して始めたスレッズは、当初こそ大きな話題になったものの、以降は低迷状態。つい、頑張ってほしいと思ってしまう。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イラン核施設への限定的攻撃をなお検討=

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 7
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 8
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 9
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 10
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中