ツイッターからXへ...もはや悲しい抜け殻に...イーロン・マスクのせいで「劣化」したこれだけの機能や要素
Everything Musk Broke in Twitter
マスク率いるXは投稿の監視も広告も、ニュース提供も問題だらけ PHOTO ILLUSTRATION BY YUKAKO NUMAZAWAーNEWSWEEK JAPAN; SOURCE IMAGES: NATHAN LAINEーBLOOMBERG/GETTY IMAGES (MUSK), SHAUNL/ISTOCK (CLOUD), ILLUSTRATION BY DUNCAN1890/ISTOCK (BIRD)
<衝撃の巨額買収、突然の名称変更──謎と混乱だらけの1年間に起きた劣化現象(といくつかのプラス面)を検証>
本人が望んだ結果ではなかった。それでも2022年10月28日、イーロン・マスクのツイッター買収は完了した。
この世界一、二を争う富豪が買収を提案したのは昨年春。約440億ドルで入札に成功したものの、数週間後には重大な間違いを犯したことに気付き、どうにかして買収合意を撤回しようとしたが......。結局は大金を費やす羽目になり、ツイッターの株主は1株当たり54.20ドルを手にした。
ツイッター(現X)はもはや悲しい抜け殻だ。一般的なビジネス指標のどれを見ても、以前とは大違い。マスクの気まぐれな言動やサイトの変化に嫌気が差した広告主は、ツイッターへの広告支出を大幅削減し、ユーザー数も減っている。企業評価額は、マスクの買収額の3分の1程度に激減したようだ。
とはいえ厳密には、そんなことはマスクだけの問題。私たちにとって問題なのは、急降下するユーザー体験だ。ツイッターの「マスク化」から1年が過ぎた節目に、その変化を検証してみよう。
■名称
ツイッターはいい名前だった。動詞として使われるほどインパクトがあり、個性があった。一方、Xは不気味な印象で、マスク以外の者には意味不明だ。決済もできて動画も楽しめる「万能アプリ」がマスクの構想だが、そんなツイッターは誰も求めていなかった。
■コンテンツモデレーション(投稿の監視・管理)
担当従業員の解雇が相次いだため、当然ながら不適切な投稿の管理体制は悪化している。マスク以前は極端なヘイトスピーチ、特に暴力を示唆する発言は大抵、報告があった時点で何らかの対応が取られていた。
しかしマスク以降は、ヘイトスピーチやハラスメント、偽情報がはびこっている。
■ボット
ツイッター時代もボットアカウントやスパムアカウントの正確な数は不明で、マスクはそれを口実に買収合意を破棄しようと試みた。
ボットをめぐるマスクの発言には虚偽が多い。認証バッジ付与を含むサブスクリプション(定額利用)サービスを月額8ドルで提供する理由としてもボット問題を挙げていた。だが問題が解決されるどころか、ボットアカウント(中には認証済みを示すブルーのチェックマーク付きのものも)が氾濫し、ポルノボットの存在感も膨らんでいる。
■迷惑ユーザー
不快なツイートをするユーザーの迷惑度はさらにアップした。自分の投稿を表示されやすくするアルゴリズムの有料サービスを利用しているのが一因だ。さらに、マスクによって凍結アカウントが「出禁解除」されたせいで、悪意に満ちた無価値な発言が復活している。