「テック企業経営者としては異例」...チャットGPTのCEOが世界中の指導者に「挨拶回り」に行く理由とは?
A Charm Offensive
アルトマンは少し前までEUの規制案に批判的で、オープンAIはEU域内での事業活動を停止しなければならないかもしれないと警告していた。ただ、その後発言を撤回し、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長とも会談した。
米タイム誌によると、オープンAIは水面下で、チャットGPTなどの生成AIを「高リスク」商品に分類しないよう、数カ月にわたりEU当局にロビー活動を展開していたという。
「多くの企業は規制に賛成だと言うが、あくまで口先だけ。だから(実際に規制が導入されそうになると)猛烈に反発する」と、米テクノロジー政策コンサルティング会社アンカー・チェンジのケイティ・ハーバスCEOは指摘する。
「政府や議会は、『規制に賛成と言っていたのに、なぜ規制を阻止するためのロビー活動を展開しているんだ?』と困惑することになる」
大手テクノロジー企業の経営者にとって、議会や政府に直接話をすることは通過儀礼のようなものだ。
だが、そのほとんどは、社会を揺るがすような問題が起きたとき、議会の公聴会などに「引っ張り出される」ことのほうが多かった。フェイスブック(現メタ)のマーク・ザッカーバーグCEOしかり、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOしかり。
だが、アルトマンは違う。大きな問題が起きる前に、いわば各国の当局者に挨拶回りをして、総じて好意的に受け入れられている。
「アルトマンは、大手テクノロジー企業の経営者たちが、大きな問題が起きてからダメージコントロールに奔走する姿から教訓を得たように見える」と、ハーバスは語る。
確かに、ザッカーバーグが政治家に直接働きかけるようになったのは、フェイスブックのユーザー情報がデータ分析会社ケンブリッジ・アナリティカに政治利用されていたことが大問題になってからだ。
アルトマンはこれまで、AIの開発や運用に規制を設けるとともに、政府がオープンAIなどの企業と協力して潜在的なリスク軽減に努めるよう訴えてきた。
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