ニュース速報
ワールド

情報BOX:トランプ米大統領、3期目は可能か

2025年04月01日(火)14時56分

 トランプ米大統領(写真)は3月30日、3期目を目指すことは冗談ではないと語ったものの、2期を超えて大統領を務めることを禁じている合衆国憲法をどのように回避するかについては説明しなかった。写真はワシントンで同日撮影(2025年 ロイター/Nathan Howard)

Jack Queen Luc Cohen

[31日 ロイター] - トランプ米大統領は3月30日、3期目を目指すことは冗談ではないと語ったものの、2期を超えて大統領を務めることを禁じている合衆国憲法をどのように回避するかについては説明しなかった。

以下はトランプ氏が直面する法的な課題。

<憲法上の規定>

合衆国憲法修正第22条は「何人も2回を超えて大統領に選出されてはならない」と定めている。

この修正条項は1951年、ジョージ・ワシントン以来の大統領が自らに課してきた2期という制限をフランクリン・D・ルーズベルト大統領(民主党)が初めて破った後に批准された。

ルーズベルト氏は世界大恐慌と第2次世界大戦の最中に大統領を務め、3期目を終えて、4期目に入った数カ月後の45年に死去した。

キニピアック大のウェイン・アンガー教授(法学)は、憲法は大統領の任期を2期以内で1期4年と定めているとして「最高裁は(大統領任期は)1期4年の2期なのは明らかだ、ドナルド・トランプ氏は3期目に立候補することはできないと言うだろう」と語った。

<トランプ派議員による憲法改正の試み>

野党民主党とトランプ氏が率いる共和党との政治的分断が激しくなっている現在、3期目を務められるようにするための憲法改正の可能性は極めて低い。

憲法改正には議会上下両院で3分の2以上の支持を得て、州議会の3分の2以上が憲法制定会議を招集して提案しさらに50州のうち38州以上の議会が承認する必要がある。

共和党は下院で218議席と民主党の213議席に迫られ、上院で53議席と民主党の47議席をわずかに上回って多数派になっている。共和党は28州の議会で優勢になっている。

南部テネシー州選出の共和党所属の下院議員で、トランプ氏の強力な支持者であるアンディ・オグルス氏は今年1月、合衆国憲法修正第22条を変えて大統領を非連続ならば3期務められるようにする法案を出した。

トランプ氏の2017年からの1期目と、25年からの2期目の任期が連続していないため、法案が可決されれば29年から3期目を務めることが可能になる。

<副大統領として出馬の可能性は>

トランプ氏は米NBCテレビのインタビューで、バンス副大統領が28年の大統領選に出馬し、トランプ氏を副大統領候補とすることが可能性の一つになると語った。

バンス氏が勝利し辞任することでトランプ氏が大統領に復帰する道が開かれるというもの。

しかし合衆国憲法修正第12条には「大統領職に就く資格がない者は副大統領職の資格も有さない」と記されており、トランプ氏は副大統領に立候補することはできない。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、3月15.5万人増に加速 不確実

ビジネス

任天堂、「スイッチ2」を6月5日に発売

ワールド

脅迫で判事を警察保護下に、ルペン氏有罪裁判 大統領

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中