ChatGPTにはまねできない? 今、学生に求められる「最も重要な力」とは
LEARNING TO LOVE CHATGPT
21世紀の最も重要なスーパーパワーは、「高度な質問をする能力」である。合成的な知識の深い蓄積を誇示するという教授としての競争優位性が崩壊したと嘆いていた私は、まさにチャットGPTのおかげで、自分がこれまで教えてきたことを実践し、より優れた質問家を目指せばいいのだと気が付いた。
新しい競争優位性とは、真実に近づくために、創造的なイノベーションの可能性を高めるために、最も創造的でカスタマイズされた質問をすることだ。知識をひけらかすことを重視していた私が、学生に提供する最適なプロンプトや質問、シミュレーションを考えるようになれば、不安定で不確実で複雑で曖昧な世界で彼らをよりよい結果へと導くだけでなく、私自身の職業的地位も向上するだろう。単なる知識の伝達に頼りすぎていれば恐竜と同じ運命が私を待っていたところ、チャットGPTの存在が、淘汰される前に適応せざるを得なくさせた。
私は最初の直感のようにチャットGPTを葬り去ろうとするのではなく、称賛しようと思うようになった。そのきっかけは、法学部と医学部に進もうと考えている2人の学生から同じ質問をされたことだ──AIに完全に取って代わられるかもしれない職業に就くために、数十万ドルの借金を背負い、人生の最高の年月を犠牲にする価値があるのだろうか。
この質問を熟考しながら、私は気が付いた。チャットGPTとそのAI仲間たちは、感情や戦略的思考という人間の優位性をより不可欠にする、効率的な強化剤にすぎないのだ。
AIは弁護士や医師の調査や発見を効率化するだろうが、人間の戦略的なアドバイスや判断に取って代わることはない。AIに取って代わられるような人は、そもそも優れた医師や弁護士になる資格がなかったということだ。それは私たちの健康や財布が守られるということでもあるから大歓迎だ。
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