テクノロジーの勝者が未来をつくる──ウクライナ戦争が浮き彫りにした技術競争の重要性
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ならば、民主主義各国にとって政策上の課題は何か。答えは明白だ。
第1に、技術的発展に対する不干渉主義を捨てなければならない。近年の危険な展開は、アメリカがテクノロジー戦略に対して自由放任の方針を取り続けるなかで起きた。
ハードウエアやソフトウエア、ネットワークという中核分野で、アメリカと同盟国は「守り」を迫られている。その一例が、5Gで先行する華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の排除キャンペーンや、米半導体産業の強化を目的とするCHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法の成立だ。受動的な対策は最悪の事態を防ぐ措置でしかない。
第2に、「次の半導体チップ」を見極め、公共政策を適応化しなければならない。必要なのは、長期的国家技術戦略の策定・実施をめぐる再現性のある官民モデルだ。特定部門に大規模な公共投資を行うことには、政治的・経済的リスクがある。だが技術産業の中核機能を戦略的ライバルに譲り渡したり、サプライチェーンのチョークポイント(難所)に対して極めて脆弱なまま放置するリスクに比べれば取るに足りない。
アメリカと同盟国は、未来のテクノロジーの構築に不可欠な鉱物資源の採掘・精製を推進している。その方向性は正しいが、より大きな注目や投資を要するハードウエア製造部門も存在するのではないか。例えば、バッテリーや太陽光パネルのバリューチェーン(価値連鎖)における中国の優位は強く懸念すべきだ。
第3に、次なる経済発展を導く技術への投資を協調して行う必要がある。先端製造技術は先発優位の刺激的な分野だろう。人工知能(AI)を用いた核融合エネルギーの革新も、戦略的影響の大きい画期的なクリーンテック手法になるのではないか。
最後に、新技術は未知のチャンスや利益をもたらすという楽観的視点を持ち続けるべきだ。AIやバイオテクノロジーなどの先端技術の将来性を見失ったり、問題にとらわれて過度にリスクを回避すれば、戦略的袋小路にはまり込むことになる。
勝利のカギは変化の体系化
誰もが認めるように、強力な技術プラットフォームは深刻な倫理的・経済的・政治的問題を引き起こす。それでも、破壊的技術分野の革新と規制、および国益のバランスを民主的に実現できると信じるべきだ。
プラットフォームをめぐる競争に勝利しても、テクノロジーの管理をめぐる民主主義各国内の複雑な論議に答えは出ない。ただし、独裁体制が相手のこの競争に勝利しなければ、議論することも許されなくなる。