上位表示20%が偽情報のTikTok──偽医療情報だけでなく、政治に関するフェイクもいっぱい
Beware the “New Google”
TikTokの公式データによれば、今年第1四半期にガイドライン違反で削除した動画は1億200万本以上。ただし「有害な偽情報」を含む「信憑性ガイドライン」違反で削除されたものは全体の1%に満たない。
なおTikTokのウェブサイトによれば、新たに投稿された動画は全てAIによる審査を受け、そこで問題ありとされた投稿は自動的に削除されるか、人間の判定員による審査に回されている。
TikTokで検索なんて、と言うなかれ。先頃グーグルが発表したところでは、若い世代では情報検索に当たってグーグルよりもTikTokを使う人が増えているらしい。
第三者による調査でも、2021年にはTikTokがグーグルを抜いて、世界で最もよく利用されるウェブサイトになったという。去る8月には有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルも、TikTokを「新しいグーグル」と呼んでいる。
TikTokの運営やデータ収集のやり方、そして中国政府とのつながりには問題が多いとされる。TikTokの親会社であるバイトダンスは中国のインターネット大手で、中国政府が一部出資している。
またTikTokの利用者は民主主義陣営の西側諸国でこそ増え続けているが、なぜか中国国内では利用が禁じられている。
私たちは今年9月、TikTokとグーグルの検索結果を比較検討してみた。検索事項は前回の米大統領選、新型コロナ、ウクライナ戦争、米中間選挙、人工妊娠中絶など、話題のニュース27件だ。
するとTikTokでは、検索結果の上位20点までに虚偽の主張を含む動画がいくつも表示された。対してグーグルの検索結果は比較的に品質が高く、より中立的で、虚偽情報はずっと少なかった。
また27件の検索結果上位20位までに表示された動画540点を調べたところ、TikTokでは105点(全体の20%弱)に虚偽または怪しげな主張が含まれていた。
政治に関するニュースでは、前回の米大統領選や昨年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件などを検索してみた。するとTikTokでは、しばしば検索結果のトップに偽りの怪しげな主張(陰謀論を拡散するQアノンの主張を含む)が表示された。