上位表示20%が偽情報のTikTok──偽医療情報だけでなく、政治に関するフェイクもいっぱい
Beware the “New Google”
若者に人気のTikTokだが、検索結果の上位にはしばしば偽情報が表示される PHOTO ILLUSTRATION BY NEWSWEEK, SOURCE PHOTO BY BORIS ZHITKOV/GETTY IMAGES
<親会社バイトダンスには中国政府も出資。アメリカ大統領選や、ロシアによるウクライナ侵攻と虐殺を捏造とする動画も。若者に人気があるだけに、どう付き合えばいいのか?>
「アローハ、皆さん!」
キッチンに立つ若い女性がスマートフォンの画面からほほ笑みかける。「3日か4日前、私、いま流行してるやつをすっかり治せる薬を作ってみた。ヒドロキシクロロキンって言うの」
ヒドロキシクロロキンはマラリアなどの治療薬だが、新型コロナウイルスがアメリカに上陸した頃、当時のドナルド・トランプ米大統領が感染予防に効くと吹聴し、大いに話題になった。
ただし、後にほとんどの専門家や米規制当局によって、そのような効能は全否定されている。
この女性は、次に黄色っぽい濃厚な液体の入った大きなボトルを見せ、「グレープフルーツの皮とレモンの皮を合わせて、じっくり煮詰めた。これで、あいつを治せる。覚えてね、ヒドロキシクロロキン、キニーネ、これで何でも治せるの」と言った。
動画共有アプリTikTok(ティックトック)のホームページで「ヒドロキシクロロキン」を検索したら、2番目に表示されたのがこの動画だ。
検索結果の上位20位には、ほかにもこの薬品の「手作り」を推奨する動画が3本含まれていた。言うまでもないが、ヒドロキシクロロキンは処方薬であり、家庭で作れるものではない。
「新しいグーグル」に?
私たちニューズガード(ネット上の情報サイトの信憑性を格付けする民間団体)が調べたところ、主要ニュースに関する情報をTikTok(ユーザーの大半は青少年)で検索すると、決まって虚偽または怪しげな主張が表示された。
あくまでも部分的なサンプリング調査だが、検索結果として上位に表示された動画のほぼ20%には偽情報が含まれていた。
この点についてコメントを求めると、TikTokの広報はこう答えてきた。
「(当社はコミュニティー・ガイドラインで)医療関係を含む有害な偽情報を許容しないと明示しており、該当するものは削除している。公衆衛生に関する事項では判定を権威付けするために信頼できる筋と協力しているし、中立的なファクトチェッカーと提携して内容の正確性を評価している」