世界初の「反グーグル・フェイスブック法」の落とし穴
Dado Ruvic-Illustration-REUTERS
<世界の注目を集めた法律がオーストラリアで成立して1年がたったが、中小メディアは今も取り残されたまま>
世界初の「反グーグル・フェイスブック法」とでも呼ぶべき法律が昨年2月、オーストラリアで成立した。
報道機関は世界中どこでも経営難に陥っており、地方紙が倒産して権力の監視機能が失われた結果、政治家の汚職が見過ごされるケースも出ている。
一方で、それらメディアが配信するニュース記事を表示する大手テック企業は、巨額の広告収入を得ている。
この法律はグーグルとフェイスブックに対し、国内メディアと交渉を行い、記事使用料を支払うよう命じるもの。法案審議中から世界で注目を集め、フェイスブックは一時的にオーストラリアでニュース閲覧をブロックして抵抗した。
結局、交渉に対する政府の介入力を弱める修正がなされ、法案は成立した。
今年2月末までに、豪大手メディアと個別に交渉したグーグルは19件、フェイスブックは11件の契約を結んできた。
だがその内容は不透明で、中小メディアは取り残されている。3月にはフェイスブックの「ザッカーバーグCEOが交渉のテーブルに着かない」と、約30の独立系メディアが記事を24時間配信しない抗議活動を行った。
他国で追従する動きが進むが、オーストラリアでもまだニュースをめぐるバトルは終わっていない。