世界を変えるテクノロジー、「台風の制御」実現は遠い未来ではない【未来予報図02】
理由は次のとおり。台風は、暖かい海水が蒸発することで上昇気流が生じ、中心部分の気圧が低くなり勢力が強まる。台風の目の中心に氷をまくと、温かい空気が冷やされ、気圧の低下をわずかに抑え、勢力を落とすことができるのだ。
そして、このように台風を制御し勢力を落とすことで風速を3m/s減少させることができ、この風速3m/sの減少だけでも、建物被害は30%ほど抑えられる。金額にして1800億円もの経済損失を軽減できるという。
また、この制御された台風で発電も可能。開発した無人の台風発電船をヨットのように台風の風で前進させ、船体後部に取り付けられたスクリューを船の前進によって回転させることで発電する。
ビジネスの未来予報:台風が脅威でなくなる未来
台風を制御する事業は、公共性が高いため、気象庁などの公的機関がおこなうことが予想される。
●政府事業
政府の気象庁などの機関が、台風の制御を担当するだろう。どれくらいの勢力なのか、どれくらいの被害が出てしまうのかを正確に予測し、それを軽減させる最善策を立てる。また、この台風制御ノウハウを海外へ輸出することも考えられる。
●発電、売電事業
台風発電船により、発電した電気を蓄電、また売電し、収入を得る。
テレビなどの天気予報やニュースの台風情報も、従来の上陸情報、注意報、警報などから、台風消滅成功、勢力軽減などの新しい報道スタイルに変わったり、従来にはなかった気象用語などが作られたりすることも十分に考えられるだろう。
今後、ある勢力以上の台風は日本に上陸しないと仮定すると、河川、山間部、あらゆる建築物の設計・建築基準なども緩和されるかもしれない。
日本のムーンショット型研究開発として2021年時点から台風を制御する研究はおこなわれており、徐々に人々の台風に対する意識は変わっていくことだろう。そして、2050年には、台風は完全に制御され、人々に対する「脅威」から「恵み」へと変わるはずだ。
『ビジネスモデルの未来予報図51』
齊田興哉 著
CCCメディアハウス
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