興奮! しつこく、粘り強く「はやぶさ2」とチームは一体となった
「岩の数、高さまでしつこいくらい観測した」
今回素晴らしく賢く、津田雄一プロジェクトマネージャが「10月からこの4か月間計画を万全にして、昨日、今日と着陸に臨みました。想定の中ではベストで着陸できたと思います」と評したタッチダウンを成功させたはやぶさ2。事前の計画と準備を行ったチームの力がある。
当日のフライトディレクターを務めた佐伯孝尚プロジェクトエンジニアは「チーム全体の、ある意味しつこさが実ったのかと思います。訓練をしつこいくらいやって、到着したらしたでリュウグウ全体を観測した上で、L08の岩の数、高さまでしつこいくらい観測して、それが今回の成功に結び付いたかなと思います」と緻密な事前準備について述べた。
最速タッチダウンを成功させたチームの力は、その精度にも現れたようだ。当初は2018年10月に予定されていたタッチダウンを2019年の2月まで延期したのは、小惑星リュウグウが事前の予想以上に岩が多い地形で、50~60センチメートル以上の岩がない、直径100メートルの開けた場所は見つからなかったことによる。そのため、当初予定の16分の1という直径6メートルのごく狭い領域を目指すことになった。
タッチダウンから1分後にはやぶさ2が撮影したリュウグウの画像には、上昇するはやぶさ2の小型エンジンの噴射または発射したプロジェクタイル(弾丸)によって巻き上げられた砂が濃いグレーに写っている。
この画像からリュウグウ表面の岩石の性質の手がかりを得ることができ、研究者を興奮に巻き込んでいる。それだけでなく、タッチダウン予定だったエリアをマーキングしてみると、砂の部分はほぼタッチダウン領域と一致。はやぶさ2はわずか6メートルの領域に予定通り降りたといえそうだ。
人工的にクレーターを作る重要なミッションに
今後はやぶさ2は、3月から4月にかけて、インパクターと呼ばれる銅製の衝突体をリュウグウ表面にぶつけ、人工的にクレーターを作る重要なミッションに挑む。クレーターの直径は2~3メートルになると考えられており、このクレーター付近に降りて物質を採取するとすれば、第1回タッチダウン同様に精密な着陸を要求される。
第1回タッチダウンにあたり、はやぶさ2が事前に観測した情報を元に、着陸予定地付近の3D地形モデルを作成して準備に望んだ。佐伯プロジェクトエンジニアのいう「L08の岩の数、高さまで」調べたということだ。インパクター衝突後には地形が一変するため、改めて3D地形モデルの作成も検討しているという。しつこく、粘り強くはやぶさ2とチームは一体となって、次の重要ミッションに挑もうとしている。