興奮! しつこく、粘り強く「はやぶさ2」とチームは一体となった
2019年2月22日 9時00ごろにJAXA宇宙科学研究所 管制室内で撮影された「はやぶさ2」プロジェクト関係者の集合写真。クレジット:ISAS/JAXA
<2月22日、小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星リュウグウにタッチダウン成功。JAXA宇宙科学研究所プレスセンターでの興奮をお届けする>
2019年2月22日午前7時48分、モニターの中の「はやぶさ2」管制室に拍手と歓声を上げる様子が写った。JAXA 宇宙科学研究所のプレスセンターに集まった記者は意表を突かれてびっくり。それが見られるのは少なくとも30分以上は後だと思っていたからだ。
小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星リュウグウで最初のタッチダウン(接地)と表面物質のサンプル採取を2月21日に開始した。プログラムの問題から、当初予定よりも小惑星への降下開始が5時間遅れたが、降下速度を早めて目標時刻2月22日午前8時6分のタッチダウンを目指した。
地球と小惑星リュウグウは3億4000キロメートル離れており、電波が届くまでに19分かかる。地球の管制室で、探査機の速度の変化の情報を元にタッチダウンを確認できるのは、午前8時25分だとされていた。「前後30分ほど時間がずれる可能性もある」と事前発表があり、記者は遅くなることはあっても早まるとは思っていなかった。それが早い方に、そして良い方に予想を裏切られたのだ。
午前9時20分ごろ、はやぶさ2チームの久保田孝教授からタッチダウン結果の速報発表があった。「タッチダウンのシーケンス(一連の行動)がすべて正常に行われたことを確認した。弾丸の発射コマンドも確認された。これをもってタッチダウン成功とする」
はやぶさ2は小惑星の表面に投下された目印"ターゲットマーカ"を追尾しながら、探査機自身が自律的にチェックポイントと呼ばれる節目で動作を確認してタッチダウンの動作を行う。吉川真准教授によると、「秒速10センチで降下し、日本時間7時26分にリュウグウ表面から高度45メートルでのホバリングを確認、ターゲットマーカの追尾を確認。45メートルから高度8.5メートルへの降下し、ホバリング。7時46分に表面への最終降下を行い、7時48分にタッチダウン。その後すぐ秒速55センチメートルの速さで上昇し、アンテナを低利得アンテナから高利得アンテナに切り替えてテレメトリー(探査機からの情報)を確認したのが8時09分。8時42分に最終確認」(時間はすべて地上、日本時間)となっている。
タッチダウンはなぜこのように早く達成できたのか
タッチダウンという最も重要なミッションをなぜこのように早く達成できたのか。はやぶさ2はタッチダウンにあたってリュウグウ表面から高度5キロメートルまで降下すると、以後は自律的に行動する状態に切り替え、地上からのコマンドではなく探査機自身が判断して行動する。
久保田教授によれば、「探査機の速度変化を見ていると、ターゲットマーカのトラッキングが早く済んでいる。姿勢変更もそれほど時間がかからなかった。マージンを見ておいたが、どんぴしゃりですべて進んだ。比較的相対速度も小さく、ターゲットマーカの真上にいることができた」という。高度5キロメートルより下は、全てはやぶさ2自身がどれだけ事前の計画通りに行動できるかにかかっていたのだ。