最新記事

インタビュー

予約から診察・会計までワンストップのオンライン診療「CLINICS」

[豊田剛一郎]株式会社メドレー 代表取締役医師

2017年8月25日(金)18時44分
WORKSIGHT

Photo: WORKSIGHT

<診察予約・問診から、ビデオ診療、決済、薬・処方せんの配送までをワンストップで提供するオンライン診療アプリ「CLINICS」。代表取締役医師の豊田剛一郎氏は、医師の信念と情熱でメンバーの心を燃やし続けている>

※インタビュー前編:医師500人が支えるオンライン病気事典「MEDLEY」の狙い

オンライン診療を支援するオンライン診療アプリ「CLINICS(クリニクス)」は、診察予約・問診、ビデオ診察、クレジットカード決済、薬・処方せんの配送までを、インターネットを通じてワンストップで提供するものです。患者はスマートフォン、医療機関はブラウザでシステムを利用できます。

事業を立ち上げて1年となる現在、契約医療機関数はのべ350を超えます。契約の意図としては、遠隔診療が向いている患者さんに対して診療の質を上げたい、患者さんの待ち時間を減らして満足度を高めたい、先進的な取り組みにチャレンジしたいといった声が聞かれます。どのような背景があるにせよ、よりよい医療を提供するツールとして使ってもらえたらうれしいです。

禁煙治療では対面のみの外来より治療効率が高い

遠隔診療というと医療過疎地での活用をイメージする人が多いようですが、通信やIT機器が普及していないエリアではサービスの浸透は難しいのが実情です。遠隔診療が広まってこなかった1つの理由がそこにあると思います*。

そんな背景もあって、我々は遠隔診療という言葉ではなく「オンライン診療」という言葉を使っています。「CLINICS」に関しては今のところ都市部での利用が多く見受けられます。利便性が高いことから患者の反応は非常に良くて、試しに一度使ったら手放せなくなったという人もいますね。

禁煙治療や生活習慣病の治療にも向いていて、特に禁煙治療に関しては対面のみの外来より約1.5倍治療効率が高いという結果も出ています**。通院の負担を減らしつつ、タバコをやめたいビジネスマンに使ってほしいですね。

また、小さい子どものいる働くお母さんの利用も多いようです。喘息やアトピーの子どもは定期的な症状チェックが必要ですが、仕事の忙しさから状態が少し落ち着いたからと受診をやめてしまうケースが多いんです。そういう患者に対してオンライン診療は医師へのアクセスを維持するための有効なツールになります。

また、精神科の医師からは周囲の目を気にせず受診できるようになる、外出の負担を軽減できるということで、患者とよりつながりやすくなったという意見も寄せられています。

科を超えて聞かれる医師の評価としては、患者の満足度が上がることで患者さんとの関係が良くなり、かえってコミュニケーションが増えたという話も聞きます。また、医師の判断で対面診療を織り交ぜるので、対面とオンラインでメリハリがつき、治療プランの精度向上、診療の質の底上げが期待できるといった意見も寄せられています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国との建設的な対話に全面的にコミット=ゼレンスキ

ワールド

米、ロシアが和平合意ならエネルギー部門への制裁緩和

ワールド

トランプ米政権、コロンビア大への助成金を中止 反ユ

ワールド

ミャンマー軍事政権、2025年12月―26年1月に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 3
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMARS攻撃で訓練中の兵士を「一掃」する衝撃映像を公開
  • 4
    同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つ…
  • 5
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 6
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 7
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 8
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中