フィリピン「ごみゼロ」宣言の裏にある現実...達成は「有害な環境」「低賃金」で働く非正規労働者頼み
労働者の権利擁護活動を進めるサントスさんは、「埋立地に送られるプラスチックごみを減らすことに貢献しているのに、適正な報酬をもらっていない。私たちは、製造企業のために文字どおり汚れ仕事を引き受けている」と語る。
フィリピン政府は2022年、プラスチック包装メーカーとブランドに自社製品の回収・リサイクルの経済的な責任を負わせる法律を制定した。サントスさんによれば、こうした製造物責任規則の拡大に向けた議論からは、実際にごみ処理を担う非正規の労働者は排除されたという。
「たとえば、回収したごみをプラスチック排出権市場で販売すると現実にはどれくらいの価値になるのか、私たちには知らされていない」
<労働者の権利>
フィリピンでは、非正規のごみ処理従事者は、基本的な廃棄物の分別にさえ苦労している地域社会に対し、予算を抑えた解決策を提供していることが研究で示されている。
だがこうした労働者は、健康面、安全面でのリスクにさらされている。
昨年2月、1000人以上の組合員を抱える12のごみ処理労働者団体が法的な保護を推進する全国連盟を結成した。
サントスさんを代表とする全フィリピンごみ処理労働者連合は、危険手当など労働安全対策や健康保険、雇用保証に加えて、研修や政策策定への参加を求めている。