最新記事
健康

なぜ「大腸がん」が若年層で増加しているのか...「健康食品」もリスク要因に【研究者に聞く】

A Rising Colon Cancer Risk

2024年12月26日(木)16時10分
ルーシー・ノタラントニーオ(ライフスタイル担当)

「食物繊維は消化を助けるだけでなく、便通をよくし、有害物質が腸の壁に接触する時間を短くしてくれる」と、スペクターは指摘する。「これは極めて重要だ。腸内に毒素がたまるのを抑えるものは何であれ、癌のリスクを減らしてくれる。食物繊維は腸の清掃係のようなものだ」

食物繊維は腸内微生物の栄養源となり、微生物が腸だけでなく健康全般によい化学物質を生成するのを助けるとともに、健康的な腸管バリアと免疫反応を維持する上で重要な役割を果たす。


さらにスペクターは、「健康的でバランスの取れた腸内細菌叢(そう/フローラ)を維持する上で、発酵食品は本当に素晴らしい働きをする」と語る。また、大腸癌と密接な関係がある炎症を抑える上では、健康的な脂質が重要であることも改めて強調した。

出生コホートという要因

ただし、大腸癌のリスクと強く関連するのは食べ物だけではない。家族の病歴から大量の飲酒、環境までさまざまな要因も影響している。

エール大学医科大学院の消化器専門家であるミシェル・ヒューズ助教は、内分泌攪乱物質(環境ホルモン)の影響を指摘する。これは体内に取り込まれたとき、ホルモンのように作用したり、ホルモンの作用を妨害したりする天然または人工の化学物質だ。

「環境ホルモンは大気中に漂う細かい粉塵で、大腸癌に大きく関係すると考えられている」と、ヒューズは語る。「環境ホルモンは環境汚染物質であり、人間の体内でも腸内細菌のバランスを崩し、炎症やストレスをもたらして、癌を引き起こす恐れがある」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

シャープ、堺市の土地などソフトバンクに引き渡し 売

ビジネス

焦点:中国株、トランプ関税で再び「偉大」に 避難先

ビジネス

午後3時のドルは148円半ばへじり高、株反発で円高

ワールド

米メディア、投票システム会社に和解金4000万ドル
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 5
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 8
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 9
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 10
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中