犬は人の表情を読んでいる──あなたが愛犬に愛されているかは「目」でわかる

FOR THE LOVE OF DOG

2023年5月25日(木)14時55分
アダム・ピョーレ(ジャーナリスト)

「犬がどのように考え、世界がどう見えているかを理解するのは難しい。なにしろ犬は、私たちに似ていると私たちが思うような方向に進化させられてきた」と彼女は言う。

「犬はある意味、人間の心理を模倣するような進化を遂げてきた。でも、犬が脳内で実際に人間をまねているわけではない。犬の脳内で何が起きているかを理解するには、人間の色眼鏡を外す必要があるが、それは私たち人間には難しい」

犬が言葉を理解し、人間の意図を読み取れることは分かった。でもエモリー大のバーンズは、まだ満足できない。あの究極の謎が解けていないからだ。愛犬ニュートンが自分を見つめるときの大きな目は、本当に愛情表現だったのか?

そこでバーンズは、ニュートン亡き後に飼ったテリア犬カリーに頑張ってもらい、fMRI(機能的磁気共鳴映像法)装置の中でじっとしていられるように訓練した。そして巨大で不気味なドーナツ形の装置にカリーを入れ、どんな状況で脳の報酬領域にある神経が最も激しく「発火」するかを観察した。

結果は明白だった。バーンズの優しい言葉を聞くと、カリーの報酬中枢は食べ物をもらったときと同じように明るく発火した。それはカリーが、好物の餌と同じくらい彼を愛していることの証しだった。きっとニュートンもそうだったに違いない。

そう、この件に関する限り愛犬家は科学者よりも正しかったのだ。

230530p07NW_MOKUJI_01.jpg

PM IMAGES/GETTY IMAGES

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EU、3月6日に臨時首脳会議開催 防衛強化やウクラ

ワールド

米ロ、今週末にも当局者会合実施へ 関係改善を協議

ワールド

米、ウクライナ鉱物資源巡り今週中に合意の見通し=高

ワールド

ゼレンスキー氏「平和実現なら辞任の用意」、NATO
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 2
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    見逃さないで...犬があなたを愛している「11のサイン…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 10
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中