災害のために備えるべき必須アイテム 自衛隊で学んだ「最強の飲み物」とは?
戦争の場合は、「そろそろ始まりそうだ......」と状況を判断して準備ができますが、災害はそうではありません。ある日突然、何の予兆もなくやってきます。
私が現職だったとき、災害支援などを担当している方面隊の人からも、
「災害でも、特に大地震は勤務体勢を0から一気に100に加速させて勤務しなければいけないので厄介だ。日本という国は常に地震の奇襲攻撃にさらされてるという危機感をもって生きなければいけないんだ」
と何度も言われました。そのくらい突発的にやってくるのです。
自衛隊の現場指揮官が頭を抱える災害時のジレンマ
そして、災害時には自衛隊が被災者を支援しますが、やはり人員・物資ともに使える資源は限られています。
自衛隊が災害派遣する際は、「緊急性、公共性、非代替性」の3本柱があります。人命救助などは全力で挑むのは当然ですが、生活基盤支援や瓦礫の撤去などは、自衛隊がやりすぎてしまうと、結果的に地元業者の仕事を奪ってしまう可能性があるためです。
たとえば、自衛隊は入浴支援はしますが、散髪支援は基本的に行いません。地元の理髪店の職を奪ってしまうからです。同じ理屈で水道が復旧して、銭湯などが通常営業している地域では入浴支援は行いません。
また、全国から支援物資が届いても、必要な人に必要な数だけ配らないと、被害の軽微な地域の地元商店が潰れたり、物品を独り占めするような人が現れて治安が悪化してしまいます。
一方で、被災地の地方自治体としては、予算がきびしいといった事情もあるので、自衛隊が来ているうちにいろいろな作業をしてほしいといった要望もあり、現場指揮官はさまざまなバランスの中で頭を抱えるのです。
結局のところ、すべてを自衛隊のような組織に頼らずに、一人ひとりが準備をして、行方不明者や負傷者の救難にも当たれるような体制を整えることが、結果として多くの人を救う行動になることを覚えておいてくださいね。
ぱやぱやくん
元陸上自衛官
防衛大学校を卒業し、陸上自衛隊にて幹部自衛官として勤務をしていたが、退職後にのら犬になった男。文章を書く事が好き。「意識低い系」で、自分が主役になるのが嫌い。ミリタリーよりもかわいいものが好き。名前の由来は、幹部候補生学校で教官からよく言われた「お前らはいつもぱやぱやして!」という叱咤激励に由来する。