最新記事
ヘルス

肩こりや腰痛に悩む人がハマる大きな失敗 「姿勢をよくする」ことが体をゆがませる

2021年7月25日(日)13時35分
大橋しん(理学療法士、アレクサンダー・テクニーク国際認定教師) *PRESIDENT Onlineからの転載

このやり方では、私には無理でした。どんなに頑張っても、まっすぐな姿勢がもつのは10分くらい。すぐ疲れてしまい、また元の悪い姿勢に戻ってしまうのです。それどころか、反動でよりいっそう姿勢が崩れていく......そんな悪循環でした。

「ふんわりさせる」という視点

何がダメだったのでしょうか? 答えは簡単です。心身の緊張が原因で姿勢が悪くなっているのに、さらに心身を緊張させて「よい姿勢」をつくろうとしていたからです。

これは逆効果でしかありません。これらの「よい姿勢」に、「しっかり」はあっても、「ふんわり」はありません。ここは断言したいのですが、私たちが健康的で幸せな人生を送っていくための「よい姿勢」には、「ふんわり」が絶対に必要不可欠です。

つまり、「ふんわり」と「しっかり」が両立していなければなりません。両方あって、はじめて「よい姿勢」と言えるのです。みなさんが親や学校に言われてきたのは、「しっかり」だけではないでしょうか?

世の中には、姿勢をよくする本や、ねこ背をなおす本がたくさん出ています。ある本は、トレーニングを勧めています。たしかに、姿勢を保つのに筋肉は必要ですから、間違ってはいません。

でも、体を「ふんわり」させるという観点が抜けているために、逆効果になってしまっています。まずは体を「ふんわり」させなければなりません。その結果として、背骨や体幹が伸び上がり、体を「しっかり」支えてくれるのです。

alexander_01.jpg

イラスト=『魔法のフレーズをとなえるだけで姿勢がよくなるすごい本』

引き算で体はラクになる

この話の続きをするにあたり、まず私の経歴を紹介させてください。私は、アレクサンダー・テクニークの指導講師であり、その身体技法を臨床に導入して成果を上げている理学療法士です。

アレクサンダー・テクニークとは、簡単に言ってしまうと、よりよく生きるために体と心の扱い方を学ぶ学問です。ここでは、「しようとしていないのに、無意識にしてしまっていることをやめていく、引き算のメソッド」とだけ言っておきましょう。

ポール・マッカートニー、スティング、キアヌ・リーヴス、松任谷由実などの有名人が行っていることも知られています。日本では知名度がいまひとつですが、欧米では大学のカリキュラムに入るくらい普及していて、医療や芸術をはじめ、さまざまな分野で幅広く活用されています。

私はドイツ留学中、このアレクサンダー・テクニークのレッスンを受け、自分の背中の痛みがすぐに解消したのをきっかけに興味を持ちました。そして、帰国後に勉強を重ねて、アレクサンダー・テクニークの教師として国際認定されたのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪、重要鉱物の戦略備蓄に12億豪ドル投資 中国依存

ビジネス

コニカミノルタ、25年3月期380億円の最終赤字に

ワールド

韓国の文在寅元大統領を在宅起訴、娘の元夫の採用に関

ビジネス

EUの対米輸出、2月は前年比22.4%増 1年超ぶ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 6
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    「アメリカ湾」の次は...中国が激怒、Googleの「西フ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中