最新記事

コロナストレス 長期化への処方箋

子供だってコロナストレスを感じている

UNCHARTED TERRITORY

2020年8月27日(木)18時30分
レベッカ・オニオン

まだ語彙が乏しい幼児の場合、規則正しい睡眠や食事ができているか、行動に大きな変化はないかを注意深く見守ろう。話ができる年齢の子が具体的な問題(「音楽の授業がなくて残念」など)を口にした場合、具体的な問題解決を望んでいるのか、それとも残念だという気持ちを吐露したいだけなのかを見極めよう。

9歳が24人とズームコール

シャワーを浴びたり、パジャマを着替えたり、散歩に行ったりといった日課を持つことは、あらゆる子供の心身の安定を維持する助けになる。夕食後に家族で映画を見る日をつくったり、一緒に料理をしたり、トランプやボードゲームをするといった家族の交流も助けになるはずだ。

学齢期の子供なら、ズーム(Zoom)などで友達とビデオチャットをするのもいいかもしれない。10代にもなれば、スマートフォンでソーシャルメディアを十分活用しているだろうから、おそらくこの領域で親のサポートは不要だろう。

バズマンの家庭では最近、9歳の息子がキャンプで知り合った友達24人とズームコールをしたという。「大混乱になるかと思ったが、そうでもなかった」とバズマンは語る。大人のファシリテーターが整理係を務めたことも大きい。「息子にとってはとてもいい経験だった」

10歳前後の子供にオンラインで友達とおしゃべりをさせることに抵抗を感じるなら、どこまでなら許せるかを事前に考えておこう。一日のいつ、どのくらいの時間ならいいかを子供と話し合っておくといいだろう。会話内容が親に漏れ聞こえる程度の場所でなら許すのも一案だ。

だが、コロナ禍のような前例のない時期に、子供の心身の健康にとって何より重要なのは、親の精神状態が安定していることだと、多くの専門家は口をそろえる。エール大学のディラン・ジー助教(心理学)は、子供は親のストレスに「とても敏感だ」と語る。「困難な環境で、子供を守る最大の要因は、愛情が籠もっていて、親身になってくれて、一貫して世話をしてくれる人だ」

だとすれば、自宅待機中の子供はまさに自分にとって必要な人たちと一緒に過ごしていることになる。

©2020 The Slate Group

<本誌2020年8月25日号「コロナストレス 長期化への処方箋」特集より>

【関連記事】ズーム疲れ、なぜ? 脳に負荷、面接やセミナーにも悪影響
【関連記事】頭が痛いコロナ休校、でも親は「先生役」をしなくていい

【話題の記事】
12歳の少年が6歳の妹をレイプ「ゲームと同じにしたかった」
コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
異例の熱波と水不足が続くインドで、女性が水を飲まない理由が悲しすぎる
介護施設で寝たきりの女性を妊娠させた看護師の男を逮捕

20200825issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。

20200901issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中