子供だってコロナストレスを感じている
UNCHARTED TERRITORY
まだ語彙が乏しい幼児の場合、規則正しい睡眠や食事ができているか、行動に大きな変化はないかを注意深く見守ろう。話ができる年齢の子が具体的な問題(「音楽の授業がなくて残念」など)を口にした場合、具体的な問題解決を望んでいるのか、それとも残念だという気持ちを吐露したいだけなのかを見極めよう。
9歳が24人とズームコール
シャワーを浴びたり、パジャマを着替えたり、散歩に行ったりといった日課を持つことは、あらゆる子供の心身の安定を維持する助けになる。夕食後に家族で映画を見る日をつくったり、一緒に料理をしたり、トランプやボードゲームをするといった家族の交流も助けになるはずだ。
学齢期の子供なら、ズーム(Zoom)などで友達とビデオチャットをするのもいいかもしれない。10代にもなれば、スマートフォンでソーシャルメディアを十分活用しているだろうから、おそらくこの領域で親のサポートは不要だろう。
バズマンの家庭では最近、9歳の息子がキャンプで知り合った友達24人とズームコールをしたという。「大混乱になるかと思ったが、そうでもなかった」とバズマンは語る。大人のファシリテーターが整理係を務めたことも大きい。「息子にとってはとてもいい経験だった」
10歳前後の子供にオンラインで友達とおしゃべりをさせることに抵抗を感じるなら、どこまでなら許せるかを事前に考えておこう。一日のいつ、どのくらいの時間ならいいかを子供と話し合っておくといいだろう。会話内容が親に漏れ聞こえる程度の場所でなら許すのも一案だ。
だが、コロナ禍のような前例のない時期に、子供の心身の健康にとって何より重要なのは、親の精神状態が安定していることだと、多くの専門家は口をそろえる。エール大学のディラン・ジー助教(心理学)は、子供は親のストレスに「とても敏感だ」と語る。「困難な環境で、子供を守る最大の要因は、愛情が籠もっていて、親身になってくれて、一貫して世話をしてくれる人だ」
だとすれば、自宅待機中の子供はまさに自分にとって必要な人たちと一緒に過ごしていることになる。
©2020 The Slate Group
<本誌2020年8月25日号「コロナストレス 長期化への処方箋」特集より>
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