父親の育休取得9割のスウェーデンに学ぶ「イクメン」ライフスタイルとは?
自分たちのライフスタイルに合わせて育休を取得する
現在、スウェーデンでは共働きの家庭が多く、家事・育児の分担も夫婦平等。男女ともに労働時間は短く残業がほとんどないため、平日は早く帰宅するのが一般的だ。そこで注目されるのが480日の育休の取り方。単純に男性が90日、女性が390日取得するわけではなく、男女ぞれぞれのキャリアプランなどの要因を考慮し、復職するタイミングを計って育休を取得するパターンが多いという。つまり、どの時期にどれくらいの期間にすれば、世帯収入を最大化できるかを考えて取得するのである。
一方で480日のうち384日は子どもが4歳になるまで、残りの96日は 子どもが12歳になるまで取得できるため、家族間の絆を強めるための育休の取り方もある。将来的に、このような制度が日本に導入されるとしたら、スウェーデンの人たちの育休の取り方は大いに参考になるだろう。
大切なのは辛いことに向き合うのではなく、ハッピーな時間を増やすこと
育休先進国のスウェーデンだが、育児そのものに関する悩みや苦労は日本とそれほど変わることはない。例えばスウェーデンでは母乳志向が強いため、育児で最も手間がかかる1歳までの時期はどうしても女性が育休を取得することになる。
一方で、育児に対する考え方は日本と大きく異なり、辛いと感じているときにその辛いことに対して何か対処するのではなく、それ以外のハッピーな時間をできるだけ増やそうという考え方を重視するという。例えば、たまにはデイケアに子どもを預けて夫婦で食事や映画を楽しむなど、すべてを育児に費やすのではなく、自分たちの夫婦の時間をつくってバランスを取るのだ。
そして、そういったときにはバウンサーと呼ばれる育児用品などをうまく活用するという。バウンサーとは1961年にスウェーデンのベビービョルン社が開発したもので、赤ちゃんを優しく揺らすことでリラックスさせる効果があるというもの。もともとは赤ちゃんをおとなしくさせるためのものなのだが、赤ちゃんが一人で過ごすことで、両親が子育て以外の時間をつくってリフレッシュするためにも使われる。つまり男性、女性が自分らしくあり続けるためのツールとしての側面ももち合わせている。
日本でこのような育休を過ごせるようになるには、まだまだ時間がかかるだろう。しかし、充実した育休制度が普及し、男性の育休取得率が向上した際には、育児期においてどうやって自分らしく働き、遊び、楽しむかが問われるに違いない。そのときは、二歩も三歩も先を行くスウェーデンの事例は大いに参考になるはずだ。