ポルシェはなぜ稲葉浩志とコラボしたのか?
PR
女性にこそポルシェのディーラーに来てほしい
では、七五三木氏の言うポルシェの新しい展開とは何か? この質問には「一切の制約なしにスポーツカーをお楽しみいただけるようにすること」という答えが返ってきた。
「従来であれば、お子さんがふたりいる場合はスポーツカーに乗ることは難しかった。また、環境問題に意識的でありながら、同時にスポーツドライビングを楽しむにはどうしたらいいのか、という問題もあります。そうした課題に対する回答を全て用意しようというのが、新しい展開です」
具体的には、広い後席と4枚のドアを備えるパナメーラ、スペースユーティリティの高いSUVのマカンとカイエン、将来を見据えたプラグイン・ハイブリッドモデルなど、豊富なラインナップで顧客の多様なニーズに応えようとしているのだ。
4ドアセダンやSUVなど、新しい分野に挑むポルシェだが、どれも運転が楽しいスポーツカーである点では共通していると七五三木氏は語る。
「たとえばマカンはSUVの形をしています。でも本質はスポーツカーで、スポーツカーがSUVの機能も持っていると理解していただきたいですね」
スポーツカーというと、飛ばすための車だと考えがちだ。けれども七五三木氏は、それを明確に否定する。
「著名な自動車ジャーナリストの名言に、『ポルシェは時速30キロで走っても官能が感じられる』というものがあります。時速30キロでも100キロでも同じように車と人間が一体化する感覚は、なかなか言葉ではお伝えしにくい。ぜひ一度ディーラーにお越しいただいて、経験していただきたいですね。ポルシェのディーラーは敷居が高いとお考えの方もいらっしゃるようですが、気軽に試乗していただける場所です」
そして七五三木氏は、「ポルシェもご家族用のファーストカーを扱うようになったので、ぜひ奥様にご来店いただきたい」と続けた。
「先日も、ご主人は他ブランドが気に入ったけれど、『ポルシェのほうが品がいい』という奥様のひと声でマカンをご契約いただいたケースがあります。運転のしやすさ、インテリアの上質さなど、女性にこそ試していただきたいと思っています」
ポルシェのよさは、だれにでもわかる
今回のインタビューで、ポルシェがモデルを拡充していることを初めて知った人もいるかもしれない。けれども、歴史的に見ればポルシェが豊富なラインナップを取り揃えるのは不思議なことではない。
ポルシェの創始者であるフェルディナント・ポルシェ博士(1875-1951)は、ダイムラー・ベンツの技術部長として戦前の傑作を何台も手がけた。また、戦後のドイツの国民車となったフォルクスワーゲン・ビートルもポルシェ博士が設計したものだ。超高性能車から実用車まで、ポルシェはもともと、さまざまなモデルで人を幸せにしてきたのだ。
現在のポルシェは、ハイブリッド車の進化版であるプラグイン・ハイブリッド車をラインナップし、昨秋のフランクフルト・モーターショーではミッションEというEV(電気自動車)のスポーツカーも発表した。
「ポルシェがハイブリッドや電気自動車?」と意外に感じるかもしれないが、実は世界初のハイブリッド車は前出のポルシェ博士が1900年に開発したものだ。したがってポルシェが環境に負荷をかけないスポーツカーを作るのは、いわば当然の成り行きなのだ。
ポルシェをひとことで表現すれば、常に新しいことに挑戦するイノベーティブな企業だと言えるだろう。同時に、常に高品質のプロダクトを供給する企業でもある。
七五三木氏は、「免許さえあれば、ポルシェのよさはだれにでも分かっていただける」と胸を張ったが、筆者も同感だ。あの精緻な手応えを、自動車マニアに独占させておくのはもったいない。ぜひ一度、ディーラーでポルシェの"いいモノ感"にふれていただきたい。
七五三木敏幸(しめぎ・としゆき)
1958年群馬県生まれ。一橋大学卒業後、群馬銀行へ入行。1989年にメルセデス・ベンツ日本へ移る。フィアット・クライスラー・ジャパンの代表取締役営業本部長を経て、2014年2月にポルシェ ジャパン株式会社の代表取締役社長に就任。
Text:サトータケシ
Photo:遠藤 宏(インタビュー)
○ポルシェ 新型パナメーラ × INABA/SALAS
http://www.porsche.co.jp/pis/