最新記事
投資

若者に人気の金投資、専門家が教える「黄金律」

2024年7月22日(月)10時21分
金投資

20代後半から40代前半のミレニアル世代と1990年代半ば以降に生まれたZ世代に人気の投資対象は何か。意外なことに、それは金(ゴールド)だ。2017年撮影(2024年 ロイター/Eric Gaillard)

20代後半から40代前半のミレニアル世代と1990年代半ば以降に生まれたZ世代に人気の投資対象は何か。意外なことに、それは金(ゴールド)だ。

バンク・オブ・アメリカ・プライベート・バンクの最近の調査によると、43歳以下の富裕な投資家の45%は金の現物資産を所有しており、45%は金投資に関心を持っている。この割合は他の年齢層よりも高い。

ステート・ストリートの調べでも、ミレニアル世代の投資ポートフォリオに占める金の割合は17%と全世代で最も大きく、ベビーブーム世代およびX世代の10%をはるかに上回っている。

数千年も前から存在する古風な資産に、若い世代がここまで引きつけられるのはなぜだろうか。

その一因は、金のスポット価格が現時点で1オンス=2400ドル前後と堅調なことにある。

また、身近な小売店が金の延べ棒の販売を行うようになったことも挙げられる。コストコは昨秋、1オンスの金の延べ棒を販売し始め、ウェルズ・ファーゴの推計では1カ月間の売上高が2億ドルに達することもあり売れ行きは好調だ。

金に関心を持った若い世代が心得ておくべき「黄金律」について、専門家の見解をいくつか紹介しよう。

<金現物の保有にはハードルも>

金の魅力のひとつは有形資産であることだ。世界の金融システムが大混乱に陥ったり、通貨が暴落したりしても、手元に現物の資産を持っていられる。

ファイナンシャルプランナー企業、キャノガ・パークのエリック・アムザラグ氏は「ミレニアル世代の顧客は裕福になるにつれ、直接保有できて自分で保管できる金への関心を強める」と話す。投資の目的が、利殖から資産の保全に移るからだ。

しかし金の現物保有には、それ特有のハードルがある。(1)あなたを「カモ」にしない信頼できるディーラーを見つけること、(2)納品と保管が安全に行われること、(3)購入に保険を掛けること、そして(4)最終的に売却する方法を見つけることだ。コストコは、販売した金を買い取ってはくれない。

ポートフォリオを守るためには、金の国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のアドバイザリーガイドをチェックしよう。

<ETFの検討を>

金の上場投資信託(ETF)を使えば、現物の購入、保管、売却に伴う問題は避けられる。金のETFには金現物に投資するものと、金先物に投資するものの2種類があり、比較的手軽に売買できる。

デジタル金融サービス会社SoFiの投資戦略責任者、リズ・ヤング・トーマス氏は「ETFはある程度手数料を払う必要があるが、実際に金地金を納入されて地下に保管するといった手間を避けたければ、良い代替手段だ」と話した。

金ETF最大手「SPDRゴールド・シェア」の場合、運用管理費等の手数料の比率であるエクスペンスレシオが0.4%で、1年間のリターンは実に23%を超えている。ニューモントやバリック・ゴールドなど大手金鉱企業株に投資する「バンエック金鉱株ETF」などのETFを買う手もある。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-中国、欧州EV関税支持国への投

ビジネス

中国10月製造業PMI、6カ月ぶりに50上回る 刺

ビジネス

再送-中国BYD、第3四半期は増収増益 売上高はテ

ビジネス

商船三井、通期の純利益予想を上方修正 営業益は小幅
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 2
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符を打つ「本当の色」とは
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 5
    北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は…
  • 6
    娘は薬半錠で中毒死、パートナーは拳銃自殺──「フェ…
  • 7
    米供与戦車が「ロシア領内」で躍動...森に潜む敵に容…
  • 8
    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…
  • 9
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」…
  • 10
    衆院選敗北、石破政権の「弱体化」が日本経済にとっ…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 3
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 4
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?…
  • 6
    渡り鳥の渡り、実は無駄...? 長年の定説覆す新研究
  • 7
    北朝鮮を頼って韓国を怒らせたプーチンの大誤算
  • 8
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符…
  • 9
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 10
    「決して真似しないで」...マッターホルン山頂「細す…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 9
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 10
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中