最新記事
株の基礎知識

いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グラフ」から強さを比べる

2024年5月7日(火)16時45分
山下耕太郎 ※かぶまどより転載
株式市場

Travis Wolfe-shutterstock

<結局、日本株とアメリカ株はどちらがよいのか。日経平均株価とダウ平均株価を比較する「ND倍率」がヒントになる>

日経平均株価は2月22日にバブル期の高値38915.87円を更新し、その後、史上初めて4万円の大台に乗りました。これは、日本の株式市場が活況を呈していることを示しています。日経平均株価とダウ平均株価を比較する「ND倍率」から、日本とアメリカの株式市場の強さを判断します。

ND倍率で日米を比較する

ND倍率とは、日経平均株価とダウ平均株価の比率を示す指標です。東京証券取引所に上場する225銘柄で構成される日経平均株価を、ニューヨーク証券取引所に上場する30銘柄からなるダウ平均株価で割って算出されます。

●ND倍率 = 日経平均株価 ÷ ダウ平均株価

たとえば、日経平均株価が30,000円、ダウ平均株価が35,000ドルの場合、30000÷35,000でND倍率は0.857倍となります。日経平均株価の単位は「円」で、ダウ平均株価の単位は「米ドル」ですが、ND倍率を算出する際には通貨の換算は行われません。このように、そのままの値で割り算を行います。

したがって、ダウ平均株価の値が日経平均株価の値を上回ると、ND倍率は1より小さな値になります。一方、ダウ平均株価の値が日経平均株価の値を下回ると、ND倍率は1より大きな値になります。

このND倍率を見ることで、日本株とアメリカ株の相対的なパフォーマンスを把握できます。通常、ND倍率が上昇すると、アメリカ株に対する日本株の好調を示し、反対にND倍率が下落すると、アメリカ株に対する日本株の出遅れを示します。

例えば、ND倍率が低い場合、それは日本株がアメリカ株に比べて割安である可能性を示しており、投資家は日本株への投資を検討するかもしれません。

(参考記事)大きく崩れた日本株と円安 いまこそプロが注目すべきと語る銘柄とは

ND倍率が1倍を超えた日

バブル時代の1990年1月、ND倍率は14倍台の後半と非常に高くなっていました。しかしながら、バブルが崩壊した後の2003年3月には、1倍を割る0.9倍まで下落しました。

その後、ND倍率は1.0~1.5倍の範囲で推移していましたが、2008年のリーマンショック後は1倍を割る時期が続き、2012年10月には0.64倍まで低下。ただ、2012年12月に第二次安倍内閣が発足して「アベノミクス」が始まると、日経平均株価は回復し、ND倍率も1倍前後で推移するようになります。

newsweekjp_20240507073243.png

それから11年と少しの時間を経て、2024年2月22日、日経平均株価は終値で39,098円をつけて史上最高値を更新。1989年の大納会に記録した最高値(38,915円)を、34年かけてついに上回った日でした。

そしてこの日、アメリカの株式市場ではダウ平均株価が39,069.11ドルで終わり、こちらも初めて39,000ドル台を記録しました。

2月22日は、日経平均株価の初の39,000円超えに加えて、ダウ平均株価も初めて39000ドル超えを記録した日であり、2016年4月以降1倍割れが続いていたND倍率も、久しぶりに1倍を超えた日となったのです。

newsweekjp_20240507073257.png

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏の自動車関税、19年の国家安保調査に依拠

ビジネス

カナダ中銀、利下げ決定でも物価下押し圧力は減退と認

ワールド

フーシ派攻撃計画漏えい、ウォルツ補佐官が責任取った

ビジネス

対中関税引き下げも、TikTok巡る合意のため=ト
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 9
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中