最新記事
映画

「映画づくりもアルゴリズムの言いなりに...」アカデミー賞期待の話題作『ブルータリスト』が広げた独立映画の可能性

You Have to Be Inventive

2025年2月14日(金)14時38分
アレック・ネバラリー(ライター)
映画『ブルータリスト』場面写真 エイドリアン・ブロディ演じる建築家のラースローとガイ・ピアース演じる富豪ハリソン

生き別れた妻エルジェーベトとの再会を夢見る建築家のラースロー(写真左)は富豪ハリソン(右)から仕事を依頼されるが ©DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVED. ©UNIVERSAL PICTURES

<俳優のブラディ・コーベットが監督とプロデューサーを兼任。若手監督に伝えたいことは「クレーンのレンタル料金を調べてみて」──(インタビュー)>

アメリカで映画『ブルータリスト(The Brutalist)』に注目が集まった際、しばしば話題に上ったのが同作にまつわる「数字」だ。

ブラディ・コーベット(Brady Corbet)が監督・脚本を務める3作目の映画で、資金集めと製作にかかった期間は7年。上映時間が3時間半という大作にもかかわらず、製作費はたったの1000万ドルだった──。

『ブルータリスト』予告編


本作は第2次大戦後にアメリカに渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー(エイドリアン・ブロディ、Adrien Brody)の半生を、アメリカ人実業家ハリソン(ガイ・ピアース、Guy Pearce)や非凡な妻(フェリシティ・ジョーンズ、Felicity Jones)との関係とともに描く。

とっつきにくいように思える題材だが、驚くほど見やすく感動的な映画に仕上がっている。これまでにゴールデングローブ賞の作品賞など複数の賞を受賞しているほか、アカデミー賞でも10部門にノミネートされている。

コーベットはこれまで、くせ者監督が手がける難しい作品──キャサリン・ハードウィック監督の『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと(Thirteen)』やラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア(Melancholia)』など──に俳優として挑んできた。

そして今、そうした監督たちと肩を並べるほど、アーティストとして大きな一歩を踏み出そうとしている。

『ブルータリスト』は近年のどんな作品よりも、独立系映画の可能性を広げているようにも思える。ライターのアレック・ネバラリーがコーベットに話を聞いた。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

2月完全失業率は2.4%に改善、有効求人倍率1.2

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中