映画『ハード・トゥルース』出演の名女優が語る「演じる前に完璧な人物像を作り上げること」
Working With Mike Leigh
──リーのどのような手法が登場人物をこれほど共感できる存在にしていると思う?
3カ月半にわたってリハーサルを重ね、登場人物のキャラクターをゼロから作り上げていくやり方じゃないかな。その人物の最初の記憶から今日までを、徹底して細部に至るまで作り上げ、議論し、確立していく。だからカメラの前に立つ頃には、役者の中に自分の演じる役柄の完全な人物像が出来上がっている。
──マイク・リーの描き出す人物は、いつも唯一無二の存在に見える。なぜだろう?
誰も描きたいと思わないタイプの人間やその生きざまを、彼は徹底して突き詰めて映画にする。『ネイキッド(Naked)』(93年)でデービッド・シューリスに演じさせたジョニーもそうだったし、今度のパンジーもそう。ひどい人間にも舞台を与え、みんなに見せて、考えさせ、議論させる。それが彼の流儀。これって、すごいと私は思う。